【3月11日 AFP】60歳のその裁判官は、公判中に法廷から逃走を図った被告の喉(のど)をつかみ、床に引き倒した――。英ロンドン(London)の中央刑事裁判所で8日開かれた公判で、前年の未遂に終わった逃走劇の一部始終が明らかになった。

 性犯罪で起訴されたポール・リード(Paul Reid)被告(34)は前年8月、ロンドン・ウーリッジ刑事法院(Woolwich Crown Court)での公判の際、被告人質問を終えた後、突然、裁判官用出入口の扉に向かって走り出した。

「しかし、被告が欲した自由の前に立ちはだかったものが1つだけあった――公判を担当していた判事だ」と、検察官は陪審団に向けて語った。「被告が扉を駆け抜けようとした時、ダグラス・マークス・ムーア(Douglas Marks Moore)判事は被告の首に腕を回し、引き倒そうとした」

 2人はもみ合ったまま3歩ほど進んだが、リード被告はそこでムーア判事の腕から逃れ、通路を走り抜けた。

 ムーア判事は後を追いかけ、リード被告が非常口の防火扉にまさに手をかけようとした瞬間、ラグビー式のタックルで被告に跳びかかり、被告の喉と腰に手を回して床に押し倒した。判事はその後、激しくもがく被告に馬乗りになり、看守に引き渡すまで押さえつけ続けたという。

 リード被告は、逃亡を試みたことを否定している。(c)AFP

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