【3月7日 AFP】米航空宇宙局(NASA)の科学者が、隕石(いんせき)の残留物から地球外生命体の小さな化石を発見したと発表し、大興奮と疑惑の両方の目で注目を集めている。現在、専門家約100人が精密な分析を行っている。

 NASA科学者のリチャード・フーバー(Richard Hoover)氏は4日、学術専門誌「ジャーナル・オブ・コスモロジー(Journal of Cosmology)」に論文を発表。ミミズのような形をした生命体の顕微鏡画像も添付した。

 フーバー氏は、数種類の「炭素質コンドライト」と呼ばれる水や有機物などが比較的多く含まれている隕石の断片を高性能の顕微鏡で観察したところ、バクテリア様の生命体を発見したとしている。

 フーバー氏は、この「(隕石)原産の化石」は、地球外からやってきたもので、隕石が地球に落下した後に混入したものではないと主張する。

 論文は「(フーバー氏は)これらのバクテリアの化石は、地球で混入したものではなく、この隕石の母体で生存していた有機生命体だと結論づけた。隕石の母体は、たとえば彗星(すいせい)や月、その他の天体の可能性がある」としている。

   「ここから推測されることは、生命はどこにでも存在するということであり、地球の生命体も他の惑星からやってきたかもしれないということである」(リチャード・フーバー氏)

 宇宙からの微生物が隕石に含まれているとの主張は、決して新しいものではない。これまでも、宇宙空間で生命体がどのようにして生きられるかや、宇宙のどこでどのように生命が誕生したかなどをめぐり、大議論を巻き起こしてきた。

 ジャーナル・オブ・コスモロジー編集長で、米ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics)のルーディー・シルド(Rudy Schild)氏は、フーバー氏について「非常に高い評価を受けた科学者・宇宙生物学者で、NASAで高い業績を成した人物」と説明する。

   「彼の発見が激論を呼び起こす性質をもったものであることから、われわれは専門家100人を集めたほか、科学界の5000人に呼びかけ、論文の検証と批評を求めた」(ルーディー・シルド編集長)

 専門家らの論文の検証や批評は3月7日から10日に発表される。また、フーバー氏の論文はジャーナル・オブ・コスモロジーのウェブサイトで無料で閲覧することができる。(c)AFP

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【参考】論文と写真が掲載された「ジャーナル・オブ・コスモロジー」のウェブサイト(英語)