【2月26日 AFP】仏ブランド、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)は25日、パリ(Paris)のバーでカップルに対して反ユダヤ的な暴言を吐いた疑いで警察に一時拘束されたチーフデザイナーのジョン・ガリアーノ(John Galliano)氏を一時停職にする処分を発表した。

 警察は24日夜、パリのバーでカップルに暴言を吐いたとしてガリアーノ氏を一時拘束し、同氏から事情を聞いた。一方、ガリアーノ氏の弁護士は、反ユダヤ的な言動はなかったと強く否定している。

 ディオールのシドニー・トレダノ最高経営責任者(CEO)は声明で、「ディオールは、反ユダヤ的または人種差別的な発言や態度を一切容認しないことを最大限の断固とした態度で宣言する」と述べ、「聴取の結果が明らかになるまで、クリスチャン・ディオールはジョン・ガリアーノ氏を全職務から一時的に外した」と発表した。

 警察によると、ガリアーノ氏は午後9時ごろ、ゲイコミュニティーやファッション業界に人気のカフェ「ラ・ペルル(La Perle)」で、となりの席のカップルと口論になった。「ラ・ペルル」は歴史的にユダヤ人居住者の多い地区にある。

 仏ラジオ局ヨーロッパ1(Europe 1)によると、男女2人は、ガリアーノ氏が英語で「汚らしいユダヤ人め、死んでしまえ」「気にくわないアジア人め、殺すぞ」などと語ったと主張している。

■目撃者の証言は「カップルが発端」

 一方、ドイツのファッション雑誌「Sleek」のウェブサイトによると、目撃者らは、カップルは隣に座って話しかけてきたガリアーノ氏を路上生活者と勘違いし、「汚らしい、気持ち悪い」などと述べていたと証言。ガリアーノ氏は当初それを無視したが、カップルのうち女性に対して、「ブス、持ってるバッグも最低だ」と言ったという。女性のボーイフレンドは立ち上がって喧嘩を始めたが、ガリアーノ氏のボディーガードとバーのスタッフが止めに入ったという。

 その後、警察は事情聴取のためにガリアーノ氏を一時拘束。ガリアーノ氏のアルコール摂取量は、運転が認められている量を大幅に超えていたため、ガリアーノ氏は運転手の車で帰宅した。警察は事件性がないか調べている。(c)AFP/Charles Onians

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