【2月24日 AFP】英国医師会(British Medical AssociationBMA)発行のオンライン医学誌「BMJ Open」に23日、意識はあるが体が完全に麻痺している「閉じ込め症候群」の患者の多くが幸せだと感じているとする調査結果が発表された。閉じ込め症候群の患者の自殺ほう助に関する議論に一石を投じたことになる。

 閉じ込め症候群は脳幹の損傷に起因し、意識ははっきりしているものの動くことも話すこともできない状態をいう。ただし、まばたきと眼球を動かすことは可能だ。 

 ベルギー・リエージュ大(University of Liege)のスティーブン・ローレイズ(Steven Laureys)教授(神経学)率いるチームは、フランスの閉じ込め症候群患者団体ALISに所属する168人に対し、病歴、心の状態、生活の質に関する聞き取り調査を行った。(眼球運動による)回答は介護人に記録してもらった。

 すべての質問に回答できた患者のうち、「幸せだ」と答えたのは72%、「不幸せだ」は28%、「自殺したい」は4%だった。

 不幸せだと答えた人の多くは閉じ込め症候群になってから1年未満であり、とても不安だという回答や、体を動かせないつらさ、社会生活やレクリエーションに参加できない悔しさを訴える人が多かった。

 ただし、回答できたのは168人中91人であり、その中でもすべての質問に回答できたのはわずか65人だった。研究者らは低い回答率により結果がゆがめられている可能性があることを認めている。なお、回答した91人のうち3分の2が自宅住まいでパートナーがおり、70%は信仰を持っていた。

■自殺ほう助への積極意見に再考を促す

 一方で研究者らは、閉じ込め症候群患者への自殺ほう助を法律で認めるべきだとする議論に待ったをかける結果だと自負している。こうした議論は欧州で活発に行われているが、そこには、閉じ込め症候群患者の人生は耐え難いものだとの前提がある。

 閉じ込め症候群については、話せるようになった、頭や指、または足を動かせるようになったというケースも報告されている。また、患者の80%以上が10年以上生存し、なかには数十年間生存する人もいる。

 論文は、「以上の結果は、(閉じ込め症候群の)急性期においていかに体が衰え患者が精神的苦痛に襲われようと、最善のケアをすることで長期的に大きな利益をもたらしうることを示唆している」とした上で、「閉じ込め症候群を発症したばかりの患者には、適切な治療を続ければ幸福な人生を取り戻せるチャンスが大いにあることを伝えるべきだ」と結んでいる。(c)AFP

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