【2月20日 AFP】地球温暖化によって世界の海や湖で赤潮の原因となる有毒な植物性プランクトンの成長が促進され、2040年ごろまでにその影響が出始める恐れがあるという研究結果が19日、米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)で発表された。

 赤潮が発生した水域の貝には毒素が蓄積され、そのような貝を食べた人はまひなどの深刻な健康被害を受けることがある。

 米海洋大気局(US National Oceanic and Atmospheric AdministrationNOAA)の研究者らは、将来の海洋と気候のパターンをモデル化し、赤潮の原因となる有毒な植物性プランクトン、アレキサンドリム・カテネラ(Alexandrium catenella)の生育に気候変動が与える影響を予測した。

 その結果、現在7月から10月にかけてみられるこのプランクトンは、21世紀末までに発生時期が2か月早まり、終息時期が1か月遅くなる可能性があることが分かった。調査を行った米ワシントン(Washington)州のピュージェット湾(Puget Sound)などリスクの高い場所では、早ければ今後10年以内に影響が出始める恐れがあるという。

 NOAAの別の研究では、鉄分を含む砂漠の砂が海に蓄積することで、海水中に存在するビブリオ属のバクテリアが増える恐れもあることが示された。ビブリオ属のバクテリアの中には胃腸炎や感染症の原因となるものがある。降水パターンの変化による西アフリカでの砂漠化の進展などによって、鉄を含む砂漠の砂が海水に蓄積する量は過去30年にわたって増え続けており、今後もこの傾向は続くと見られている。(c)AFP/Karin Zeitvogel