【2月19日 AFP】冬眠中、クマは大いびきをかく。突然の音にはっとすることはあるが、完全に目覚めるわけではない。そして、冬眠中に食べ物を一切とらなくても、母グマの妊娠は順調に進行する。

 米アラスカ州立大学フェアバンクス校(University of Alaska-Fairbanks)の研究者らは、冬眠するクマが5~7か月間、新陳代謝率を低く維持できる仕組みを明らかにして、心臓発作や脳卒中などの重大な外傷から患者を救う手だてを見つけようという研究を行っている。その詳細が18日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 心臓発作や脳卒中などでは、脳に酸素を運ぶ血液供給が急激に減る一方で、血液に対する需要は依然として高い状態が生じ、病院への救急搬送が必要になる。

 冬眠という手段がいかにして代謝要求を退けているのか。それがわかれば、心臓発作などによる血液供給量の減少に合わせて代謝要求を抑制する治療法が発見できるかもしれないというわけだ。

■冬眠の不思議

 研究チームは、アラスカ州で捕獲されたアメリカクロクマ5頭の冬眠を赤外線カメラなどを使って調査。その結果、冬眠中の新陳代謝率は75%減少と、これまで考えられていた以上に低下することがわかった。

 それでも、体温の低下は5、6度程度に抑えられており、冬眠中に妊娠した1頭のクマは平時の体温を冬眠中も保っていた。

 呼吸は1分間に1、2回程度で、心拍数も大幅に減り、心拍が20秒間隔というクマもいた。

 冬眠中はほとんど動いていないにもかかわらず、骨量の目立った減少は見られず、筋肉も少量しか減少しなかった。

 研究者は、「クマは冬眠中、組織や骨、筋肉に対し、何らかの方法で、体が活動中だと思いこませている。それに関与する分子シグナルがわかれば、人体にも同様の働きをさせる薬を実現することができるかもしれない」と話している。(c)AFP/Kerry Sheridan