【2月17日 AFP】ベトナム観光で人気の景勝地ハロン湾(Halong Bay)で17日未明、湾内を周遊していた観光船が突然沈没し、就寝中だった観光客のうち日本人1人を含む12人が死亡した。

 脱出した乗客によると、船は夜明け前に突然沈み、後方の甲板は半狂乱になりながら逃げようとする客で混乱に陥った。当時、天候は全く穏やかだったという。窓から逃げたというこの乗客は「すべてが起きたのは30秒から1分以内だった。空気を吸うために天井に顔を押しつけなければならなかった」と振り返った。その後、他の乗客らも一緒に近くにいた他の船に救助された。

 現地クアンニン(Quang Ninh)省当局によると、死亡した12人のうち2人はベトナム人の旅行者と外国人観光客向けの通訳で、10人は外国人観光客だった。死亡した外国人の国籍はアメリカ人とロシア人、スウェーデン人が2人ずつ、英国、フランス、スイス、日本人が1人ずつと発表されている。

 一緒に乗っていた観光客9人、船員6人は助かった。AFPの取材に応じたクアンニン省の当局者によると、当局が入手した最初の情報は、船体の一部が突然壊れたという内容だった。しかし、天候が原因だという情報はなかった。

 ハロン湾はベトナムの首都ハノイ(Hanoi)から東へ約160キロのトンキン湾(Gulf of Tonkin)内にあり、浸食された石灰岩による約1600の島々が連なる景勝地で、1994年に世界文化遺産(World Heritage)に登録された。2010年1~10月の統計では、ハロン湾を訪れた国内外からの観光客は230万人を超え、観光船の周遊回数は約20万回に上った。

 観光船の多くにはダイニング設備と宿泊できる船室が備わっており、観光客は水上での一夜を楽しんでいる。しかし、2009年9月には豪雨によって船が転覆し、外国人観光客3人と現地ガイドの計4人が死亡する事故も起きている。(c)AFP/Nam Hoang Dinh