【2月10日 AFP】エジプトのアハメド・アリ・アブルゲイト(Ahmed Ali Abul Gheit)外相は9日、衛星テレビ局アルアラビア(Al-Arabiya)のインタビューで、ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領の退陣を求めるデモが拡大すれば、軍の介入もあり得ると語った。半国営の中東通信(MENA)が10日報じた。

 これによるとアブルゲイト外相は、このままデモが続いて「混乱状態に陥った場合、軍が介入して国を守らざるをえない。これは非常に危険なことだ」と述べた。同外相はまた、ムバラク大統領の即時退陣を求める米国が意見を押しつけていると非難した。このコメントが報じられた直後、米政府はエジプト軍に強硬手段に出ないようあらためて訴えた。

 これに先立ち、就任したばかりのオマル・スレイマン(Omar Suleiman)副大統領は、平和的な政権移行が不可能となれば、クーデターが起きかねないと警告していた。

 タハリール広場に集まっている反政府デモの参加者らは解散するそぶりを見せていない。カイロ(Cairo)中心部のタハリール広場(Tahrir Square)では、デモ開始以来最大規模となった8日に続き、9日も多数の市民が議事堂に向かって行進した。デモは国内全土に広がっている。

■軍がデモ参加者を拘束・拷問との情報も

 一方、軍が民主化運動の活動家らを拘束し、拷問しているとの報道もある。英紙ガーディアン(Guardian)が人権活動団体や反政府デモの参加者に取材したところ、デモ参加者ら数百人が軍によって拘束され、一部は拷問を受けたとの証言を得たという。

 カイロの人権団体の幹部によると、軍に拘束されたのは夜間外出禁止令を破ってデモに参加した人や、軍の士官に反抗した人、挙動が不審、あるいは外国人のように見えるとして軍に引き渡された人などさまざまで、「軍がこのようなことをしたのは私が知る限り前例がない」という。

 ある男性は、デモ隊に医薬品を運んでいたときにエジプト考古学博物館(Museum of Egyptian Antiquities)で身柄を拘束され、部屋に押し込まれて複数の兵士に蹴られた上、「おまえは死ぬかもしれないし、誰にも知られずに刑務所に入れられて行方不明になるかもしれない」と言われたと語った。(c)AFP/Sara Hussein