【2月10日 AFP】バングラデシュで前週、姦通罪に問われ公開のむち打ち刑に処された少女が死亡した。同国最高法院は9日、死因は内出血だったとする検視結果を発表し、関係者を殺人罪で訴追する方針を固めた。

 南部シャリアトプル(Shariatpur)県の村に住んでいたヘナ・ベグム(Hena Begum)さん(15)は、いとこと婚外交渉を行ったとしてシャリーア(イスラム法)の姦通罪を適用され、イスラム教聖職者を含む村の長老らによってロープで打たれる公開刑に処された後、病院で死亡した。

 警察は「外傷はなかった」とする検視結果を発表したが、これに人権活動家らなどから批判が噴出。シャリーアに基づく私刑は違法だとして高等法院に訴え出た。

 高等法院のアルタフ・ホセイン(Altaf Hossain)判事は、改めて行われた検視では目立った外傷が8か所認められ、死因は内出血と断定されたとして「これは殺人事件だ」と述べた。また、地元警察と最初の検視を行った医師を呼び出して事情を聞いたこと、同件が現在、殺人事件として扱われていることも明らかにした。

 なお、ヘナさんのいとこも、長老たちからレイプ罪でむち打ち刑を宣告されていたが、執行前の9日に殺人罪で警察に逮捕された。

 バングラデシュでは前年7月、高等法院がファトワ(宗教令)による刑罰を違憲とする判断を下しているが、人権団体によるとこの判断はほとんど尊重されていない。前年12月には、義理の息子と一緒に寝たとして女性が40回のむち打ち刑を受け、その後死亡する事件が起きたばかりだった。(c)AFP