【2月8日 AFP】インターネットの共同購入サイト「グルーポン(Groupon)」は7日、1年で最も多い視聴者が目にするスーパーボウル(Super Bowl)の生中継中に流したCMが大ひんしゅくを買ったことについて、釈明の声明を発表した。

 6日夜のスーパーボウルの試合は、米テレビ史上もっとも多くの人が視聴した。そこで流された問題のCMは、このような内容だ。

 もの悲しいフルートの音楽をBGMに、そびえたつ山の情景。ナレーションは、「チベットの人々は困難に直面している。彼らの文化は危険にさらされているのだ」と語る。

 そこで俳優のティモシー・ハットン(Timothy Hutton)が登場し、「それでも彼らが作るフィッシュ・カレーは素晴らしい」と言ったあと、グルーポンを使えばシカゴ(Chicago)のチベット料理レストランで割引を受けられると説明する。

 グルーポン米本社のアンドリュー・メイソン(Andrew Mason)最高経営責任者(CEO)は、今回の「セーブ・ザ・マネー」キャンペーンは、共同購入サービスを笑いのネタにすると同時に、支援が必要な活動に目を向けさせる目的だったと述べている。「募金を集める目的だった。お客様の感情を害するつもりは毛頭無かった」

■ツイッターに非難のコメント続々

 CM放映後、ツイッター(Twitter)上にはたちまち怒りのコメントが流れ込んだ。

「グルーポンのチベットのCMは最悪だった。あまりのひどさに、わたしは毎日届くメールの登録を解除した。今までのぼんやりとした嫌悪感が憎しみに変わった」(米誌ニューヨーカー(New Yorker)のライター、 タッド・フレンド(Tad Friend)さん)

「グルーポンという企業を聞いたこともなくてよかった。あの最低のCMを見た後は、今までもこれからも一生使うことはない」(ピッツバーグ(Pittsburgh)のミュージシャン、パーコー・マホーン(Paco Mahone)さん)

「グルーポンは300万ドル(約2億5000万円)という大金を投じて、今までグルーポンが大好きだった顧客まで失うというユニークな技をやってのけたようだ」(ブロガーのロヒット・バルガバ(Rohit Bhargava)さん)

 オンライン・ニュースサイトのハフィントン・ポスト(Huffington Post)のアンケートでは、回答者のうち45%が「CMは完全に不適切な内容だった」と答えた。

■グルーポン「目的は募金集め」

 シカゴ(Chicago)に拠点を構え、2008年の立ち上げから急成長したグルーポンは、同社の「ユーモアのセンスが変わっている」ことを認めたものの、同社はチベットのための支援活動をしていることを強調した。

 グルーポンは、国際環境保護団体「グリーンピース(Greenpeace)」や、チベット難民の就労支援を行う「チベット・ファンド(Tibet Fund)」への寄付を募り、集まったお金と同じ額をグルーポン側からも支出するというキャンペーンを行っているという。

 米本社のアンドリュー・メイソン最高経営責任者(CEO)はブログ上で、「CMで思うところがあったのであれば、SaveTheMoney.orgに行って寄付をしてください。(わが社は同じ額を上乗せします)」と述べた。

 メイソン氏は、サイトを創設したメンバーらはもともと慈善活動を行っていたが、「最終的にクーポン販売にたどりついた」と説明。「ディスカウントを崇高な目的のように扱い、自分たちを笑いのネタにするのは面白いアイディアだと思った」と述べた。

 ちなみに、CMとは裏腹に、海から遠いヒマラヤ地帯に住むチベット人にシーフードを食べる習慣はない。(c)AFP

【参考】問題となったCM(YouTube)
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