【2月2日 AFP】1月31日、アマゾンの先住民の新たな写真が公開された。アマゾンの先住民問題に関心を集めようと、ブラジル政府が公開を許可したもの。

 ブラジル国立先住民保護財団(FUNAI)が、ペルーとの国境付近の先住民が暮らす熱帯雨林の上空から撮影した写真には、顔を朱色に塗り、やりや弓矢を手にした先住民が上空を見上げる様子が映っている。脇には食用のパパイヤやマニオク(キャッサバの塊根)が山積みとなった籠が置かれているのも見える。

 撮影飛行には英国の先住民支援団体サバイバル・インターナショナル(Survival International)も同行した。同団体のスティーブン・コリー(Stephen Corry)代表は、「不法伐採者らが先住民を破滅に追いやっている。手遅れになる前にペルー政府による保護が不可欠だ」と強調した。

 ブラジル国立先住民保護財団は以前にも同様の写真を公開し、ペルーの森林伐採者によって一部の先住民がブラジル側の熱帯雨林に追いやられているとしていた。

 ブラジルのアマゾン先住民の組織「COIAB」のマルコス・アプリナ(Marcos Apurina)氏は、「彼らは、基本的人権のなかでももっとも重要な生存権が無視されている。われわれが保護しなければならない」と語り、公開された写真によって先住民が置かれた苦境への関心が高まり、先住民の保護が進むことを期待すると述べた。

 ブラジル国立先住民保護財団によると、ブラジルには継続的な外界との接触がない先住民が67部族存在する。なかには、限定的に外界と接触するものもあるが、こうした先住民は「非接触先住民族」と呼ばれる。

 ブラジルで直近に実施された国政調査では約1億9000万のブラジル全人口のうち先住民は50万人余りだったが、なんらかの形で先住民を祖先に持つブラジル人は数百万人に上る。

 南北アメリカ大陸の先住民のほとんどは1万3000年から1万7000年前にアジア大陸からシベリアを経由してアメリカ大陸に渡ってきたアジア人の子孫だ。この例外として有名なのは太平洋に浮かぶチリ領のイースター島(Easter Island)で、この島の先住民は太平洋のポリネシアから移り住んだ人々とされている。(c)AFP