【1月31日 AFP】(一部更新)内部告発ウェブサイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の創設者、ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)容疑者は英国潜伏中、老婦人に身をやつして尾行をかわしていた――。英紙ガーディアン(Guardian)の記者2人による伝記の抜粋が31日、同紙に掲載された。

 この伝記は、ガーディアン記者のデービッド・リー(David Leigh)氏とルーク・ハーディング(Luke Harding)氏が執筆した『WikiLeaks: Inside Julian Assange's War on Secrecy(ウィキリークス:ジュリアン・アサンジの機密をめぐる戦いの内幕)』。

 同書によるとアサンジ容疑者は、前年11月に大量の米外公電の公開を始めた後の英国滞在中、米中央情報局(CIA)の情報員に尾行されていると確信するようになった。ウィキリークスのジェームズ・ボール(James Ball)氏が、「どんなにばかげたことか、わかるかい? 2時間以上も老婦人に変装していたんだ」と両記者に語ったという。
 
 伝記はまた、アサンジ容疑者の複雑な生い立ちにも触れている。抜粋によれば、母親は1970年に17歳でベトナム反戦デモに参加し、そこで父親であるジョン・シップトン(John Shipton)氏と恋に落ちた。だが、2人は結局別れてしまい、アサンジ容疑者は20代半ばまで父親を知らずに育ったという。

「父親と面会したジュリアンは、非常に論理的で冷静な知性を父親から受け継いでいると感じた。友人の1人はシップトン氏について『ジュリアンの合わせ鏡』と評した」と、同書は記している。

■NYタイムズ紙も暴露本、「探偵小説の登場人物みたい」

 ウィキリークスをめぐっては、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の編集主幹ビル・ケラー(Bill Keller)氏らがまとめた電子書籍『Open Secrets: WikiLeaks, War and American Diplomacy(公の秘密:ウィキリークス、戦争と米国民主主義)』も31日、発売される。NYタイムズ紙は前週、同書を「ウィキリークスの機密公開と、これをめぐる論争に関する決定的な記録書」と紹介した。

 同書ではアサンジ氏の人となりについて、「とらえどころがなく、策略に長けているが、興奮しやすい面もあり、探偵小説の登場人物のようだ」と評している。ケラー氏によると、アサンジ氏は「逃亡者」のように居場所や電子メールアドレス、携帯電話番号をしょっちゅう変えていた。

 ケラー氏によると、アサンジ氏は2010年6月にガーディアンの編集員、アラン・ラスブリッジャー(Alan Rusbridger)氏から、ウィキリークスが入手したアフガニスタンやイラクに関する米軍機密情報の公開をNYタイムズに持ちかけるよう説得された。NYタイムズ側は一貫して、アサンジ氏に対し「協力者」ではなく「情報提供者」として接し、契約を交わしたり報酬を支払ったことはないという。一方のアサンジ氏側も、明確な計画を持って接していたという。

 アサンジ氏と接触したNYタイムズの記者らは、アサンジ氏について「賢く、教養があり技術知識が豊富だが、傲慢で、批判に過敏で策略家。妙に人を信じやすい一面もあった」と考えるようになっていった。また、アサンジ氏はおおっぴらに米国政府を軽蔑しており、自分が追わる者だと確信していたという。

 同書は、アマゾン・ドットコム(Amazon.com)やアップル(Apple)などのオンライン書店で、5.99ドル(約490円)で購入できる。(c)AFP