【1月28日 AFP】中国で26日、飲酒運転で死亡事故を起こした若者が、警察幹部である父親の名前を叫んで罪を逃れようとした事件の裁判が行われたが、罪状が軽すぎるとしてインターネット上で論争が巻き起こっている。

■「俺の父は警察幹部だ」と開き直る

 李啓銘(Li Qiming)被告(当時22)は、河北省保定(Baoding)市の大学校内に車で乗り入れ、ローラースケートをしていた2人の女子学生をはね、1人を死亡させた。李被告は当時、飲酒していた。

 報道によると被告は事故後、追いかけてきた人々に対し、「俺の父親は李剛(Li Gang)だ!」と地元警察幹部の父親の名前を出し、訴えられるものなら訴えてみろと息巻いたとされる。また、被害者の遺族には口止め料として46万元(約580万円)が支払われたとも報じられている。

 中国では政府関係者の汚職が絶えないことから、事故後、ネット上には怒りの書き込みがあふれた。

■有罪でも禁錮3~7年、「ありえない」と激怒

 27日のメディア報道によると、李被告は保定市の裁判所で自動車運転過失致死罪で起訴され、女性2人をはね、うち1人に死に至るけがをさせたことを認めた。しかし、人をはねたことには全く気がつかなかったと主張したという。裁判は1日で結審し、判決は後日に言い渡される。

 メディア各紙によると、自動車運転過失致死罪の量刑は禁錮3~7年に相当する。

 これについて、人気ポータルサイト「新浪網(sina.com)」のマイクロブログには「ありえない!」「中国の法制度が、一般人からこれほどかけ離れているとは。金持ちや有力者を助けるためだけに制度が存在している」などの書き込みが殺到している。

 国営紙・環球時報(Global Times)によると、裁判所の周りには500人以上がつめかけたという。

 中国政府は、要人の汚職や食品・住居価格の高騰などに対する国民の怒りを静めるのにやっきになっており、温家宝(Wen Jiabao)首相が今週、北京(Beijing)市内の陳情受付所へ前例のない視察を行ったばかり。温首相はその際、国民が直面している問題に政府が尽力すると誓っていた。(c)AFP/Dan Martin