【1月26日 AFP】先ごろ試験飛行を行った中国初のステルス戦闘機「殲20(J20)」に、「1999年にコソボ紛争でセルビアの対空ミサイルによって墜落した米国のステルス機F117の残骸から得た技術が使われた可能性がある」と報道されたことに対し、中国の国営紙・環球時報(Global Times)は25日、殲20は中国独自の技術革新によるものだと反論する記事を掲載した。

 環球時報は、「中国が公開した軍事技術を外国のメディアがけなすのは初めてのことではない。そうした憶測にいちいち反応することは無意味だ」という中国国防省の高官の談話を引用して、問題の報道は事実無根だと報じた。

 中国共産党の機関紙、人民日報(People's Daily)の姉妹紙でもある同紙は、トップクラスのテストパイロットの言葉も引用した。このパイロットは、J20には超音速巡航能力などの「画期的な」特徴があり、「他国からの技術を利用したJ7やJ8といった従来の戦闘機とは異なり、J20は中国の技術革新が生んだ傑作だ」と語った。そして、米軍のステルス機F117の技術は、コソボ紛争当時すでに「時代遅れ」とみなされており、次世代ステルス機に採用できるものではないと指摘した。

■日本も独自の計画

 米国の最新鋭ステルス戦闘機F22のライバルになるとみられているJ20は今月上旬、ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官が中国訪問中に初の試験飛行を行い、注目を集めた。

 米国のF22は現在、世界で唯一実戦配備されている次世代ステルス戦闘機。この種のステルス機の開発に取り組んでいるのは、米国と中国以外にはわずかしかない。

 米上院軍事委員会(Senate Armed Services Committee)のバック・マケオン(Buck McKeon)委員長は前週、J20はロシア機からコピーした技術に基づいているとコメントしている。

 ロシアは2010年1月、米国のステルス機の対抗機と銘打って同国の航空機メーカー、スホイ(Sukhoi)が開発した戦闘機「スホイPAK FA(Sukhoi PAK FA)」を公開した。また日本が独自の開発計画を持っているほか、インドはロシアと開発で協力してしている。(c)AFP

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