【1月19日 AFP】英国の探検家アーネスト・シャクルトン(Ernest Shackleton)が100年以上前に南極の氷の中に残したウイスキーのうち3本が17日、故郷のスコットランドに帰還した。

 シャクルトン探検隊は1908年に南極点を目指したが失敗に終わった。その際に建てた小屋の調査が前年行われ、スコッチウイスキーのマッキンレー(Mackinlay)を含むさまざまな貯蔵品が発見されていた。

 マッキンレーは現在、同ブランドを所有する英酒造ホワイト・アンド・マッカイ(Whyte and Mackay)に届けられ、南極の極寒の中に長期間置かれていたことで、どのような状態になっているかを分析される。これらのウイスキーは、スコットランドで1896年か97年にびんに詰められたとみられ、事実であれば現存する世界最古のウイスキーになる。

   「英国南極探検1907(British Antarctic Expedition 1907)」と書かれた木箱は、氷点下30度の環境でガチガチに凍結していたが、ウイスキー自体は凍ってはいなかった。持ち帰ったウイスキーの他にも、ウイスキーの入った木箱が2つ、ブランデーの入った木箱が2つ発見されたが、それらはもとあった床板の下に保管されている。

■分析は「業界全体の利益に」

 ホワイト・アンド・マッカイのマスターブレンダー、リチャード・パターソン(Richard Paterson)氏は、発見されたウイスキーの分析が「ウイスキー業界の利益になる」と語る。

   「業界の歴史上、1世紀の年代物のウイスキーが自然の冷蔵庫の中で保管され、地球上で最も厳しい環境にさらされていたことなどない」とパターソン氏は述べ、「わたしの経験を活用して、この驚くべき酒を分析することができるのはこの上ない名誉だ」と語った。

 ウイスキーは今後6週間かけて研究室内で分析され、においや味の確認が行われる。

 ウイスキーを発見したニュージーランドの南極歴史遺産トラスト(Antarctic Heritage Trust)は、木箱をニュージーランドのクライストチャーチ(Christchurch)にあるカンタベリー博物館(Canterbury Museum)に送った。木箱はそこで慎重に解凍され、中のボトルが取り出された。

 非常に貴重で価値のあるこれらのボトルを、ホワイト・アンド・マッカイの所有者、ビジェイ・マリヤ(Vijay Mallya)氏が個人的に集め、スコットランドに持ち帰った。(c)AFP

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