【1月13日 AFP】国内の時間帯の変更が政治問題となっているロシア極東カムチャツカ(Kamchatka)州で、「ひそかに政治的なメッセージが込められている」との理由から、新年公演で好評を博した『シンデレラ(Cinderella)』の上演が禁止された。

 カムチャツカ地方とモスクワとの時差は9時間だったが、経済の効率化などのため国内の時間帯を減らすというドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領の方針を受けて2010年に8時間差へ移行したところ、暗いうちに生活する時間が増えるとして街頭デモなどの抗議が起きた。

 カムチャツカ州の州都ペトロパブロフスクカムチャツキー(Petropavlovsk-Kamchatsky)の劇場で上演された『シンデレラ』には、宮殿での舞踏会にシンデレラを引き留めるために王が時計の針を戻す場面があった。

■時計の針を戻す場面で大喝采

 この問題に注目が集まるきっかけになったカムチャツカ州の元知事のブログによると、最初の4回の公演は大成功だったが、5回目の公演を鑑賞していた州政府関係者がこの場面で観客が拍手喝采していることに気付き、報告を受けた知事が上演禁止を命じたという。

 露日刊紙コメルサント(Kommersant)は劇場従業員の話として「出演者たちは社会的緊張が高まっているため上演は打ち切りだと告げられたが、中止の理由は技術的な問題だと言うように指示された」と報じた。

 出演者たちが、そのような措置は検閲であり抗議行動を行うと迫ったところ、13日の公演は新しい内容で行われることになった。チケットはすでに完売している。

 ロシア極東地域には独立心旺盛な住民が多く、遠く離れたモスクワの役人の施策を見下す傾向がある。2008年12月にはウラジオストク(Vladivostok)で輸入車にかかる関税の大幅引き上げに反対して大規模なデモが起き、モスクワから航空機で機動隊が派遣された。(c)AFP