【1月8日 AFP】女性が泣いているとき、その涙からは男性の性的興奮をなえさせる化学物質が発せられていることをイスラエルの科学者たちが発見したと、米科学誌サイエンス(Science)が掲載した。

 ワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)のチームはまず、23~32歳の男性24人を2グループに分け、それぞれ別の2個の瓶の中身をかいでもらう対照実験を行った。片方の瓶には、映画『チャンプ(The Champ)』の感動的場面を女性に見せて採取した涙が、もう片方には無臭の塩水が入っていた。男性たちに中身が何かは知らせなかった。

 匂いをかいだ後の男性たちに、今度は何人もの女性の顔写真を見せた。すると涙をかいだ男性のほうが、写真に魅力を感じない傾向が高かった。また男性たちの感情的反応をみる質問として、女性たちの表情に悲しみや共感をどの程度感じるかと問うと、涙をかいだ男性は感情的影響を受けていなかった。そして全体的に、涙をかいだ男性のほうが、女性の写真を見て示す性的興奮度が低かった。

■涙をかいだグループ、男性ホルモンが減少

 さらに検査をしてみると、涙をかいだ男性グループでは、性的興奮に関連する男性ホルモンのテストステロンが著しく減少していた。脳スキャンによってもこの結果は確かめられた。

 涙に含まれるどの成分が男性の性的反応を抑制するのかや、今回実験したグループ以外の涙、例えば子どもの涙が大人に与える影響などについてはさらに詳しい研究が必要だが「今回の研究は、人間の化学的信号が、意識するしないにかかわらず、他人の行動に影響を与えていることを示すものだ」とワイツマン研究所神経生物学科のある教授は述べている。(c)AFP