【12月28日 AFP】人類直近の祖先とされるネアンデルタール(Neanderthal)人が、現生人類と同じように植物を調理して食べていたことを、米スミソニアン国立自然史博物館(Smithsonian National Museum of Natural History)の人類学研究チームが発見した。

 スミソニアンの研究チームがヨーロッパ北部やイラクで発見されたネアンデルタール人の化石を調べたところ、歯石から野草などの植物の穀類や根茎部が見つかった。これらの粒子を化学分析したところ、穀類を調理したときにできるでんぷん質と一致した。この結果から、ネアンデルタール人は野草や穀類を、火加減を調節しながら上手に調理して食べていたと考えられるという。
 
 ネアンデルタール人は、一般的に肉食だったと考えられている。だが、もし植物類を食べていたとすると、ネアンデルタール人が3万年前に絶滅した原因は獲物が激減したためとの一説は覆えることになる。

 これまでに発見されている石器類からは、ネアンデルタール人が穀類を挽いた形跡はなく、彼らが食用植物を栽培していたとは考えにくい。だが、今回の発見で、ネアンデルタール人が植物を食べるために調理していたことは、ほぼ確実とみられる。

 スミソニアン研究チームによる調査結果は、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載されている。(c)AFP