【12月27日 AFP】中国国内の出版物の認可・管理を行う国家新聞出版総署(General Administration of Press and Publication)がこのほど、中国語の新聞、書籍、ウェブサイトなどで外国語を使用することを禁じる通達を出した。

 20日に当局ウェブサイトに掲示された通達によると、中国語の文章の中に英語やアルファベットの略語が使用される頻度が年々増しており、こうした「言葉の乱用」が混乱の元となっているためという。

 当局は、中国語に外国語を混ぜて使う習慣は「中国語の水準や純度を著しく損ね、調和の取れた健全な言葉や文化環境を破壊し、好ましくない影響を社会に与える」と批判。外国語の単語やアルファベット略語、外国語と中国語を組み合わせた造語などの中国語の出版物への使用を禁止するとしている。

 違反した出版社は処罰の対象となるが、具体的な罰則は明らかにしていない。

 この禁止令により中国語の新聞や雑誌では、NBA(全米プロバスケットボール協会)、GDP(国内総生産)、CPI(消費者物価指数)、WTO(世界貿易機関)などの略語が使用できなくなる。だが、これらの略語は中国人が日常的に使用し、政府高官でさえ記者会見で口にする。

 こうした事情からか、当局は抜け穴も用意。英語の使用が避けられない場合は、その単語の直後に中国語による翻訳を記すことを義務付けた。英語で表記された外国の人名や地名についても、同様の措置が求められる。

 通達について北京(Beijing)のある出版社の編集者は、「中国語を守るという目的は良いが、グローバル化時代にWTOのように読者に幅広く認知されている略語まで禁止するのは行き過ぎだ」と英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)に話し、かえって読者の理解力低下につながりかねないと懸念を示した。(c)AFP/Susan Stumme