【12月25日 AFP】英秘密情報部(Secret Intelligence ServiceSIS)、通称「MI6」の職員がロンドン(London)にある自宅のカバンの中から遺体で発見された事件で、同職員が生前、ボンデージのウェブサイトを訪問し、女性用のブランド服を大量に所有していたことなどが捜査で判明した。ロンドン警視庁(Scotland Yard)が22日、発表した。

 事件はことし8月23日、MI6の暗号解読担当者、ガレス・ウィリアムズ(Gareth Williams)さん(30)が、自宅の旅行カバンの中から裸の状態で遺体で発見されたもの。最近になって、捜査はMI6職員としての業務との関連性から、ウィリアムズさんの私生活に重点が移っていた。

 ロンドン警視庁のハミッシュ・キャンベル(Hamish Campbell)刑事は、ボンデージまたは同性愛的行為に関わりのある人物が、ウィリアムズさんの事件と「つながりがあった」とみていると記者団に語った。ボンデージの装具類はウィリアムズさんの自宅からは見つかっていないという。

「何者かが現場にいたことを確信している。事故であれ計画的であれ、あのような状態に人を放置する状況がどういうものだったのかを知りたい」と、キャンベル刑事は述べた。

 ウィリアムズさんの遺体が入っていた赤色のカバンを分析した専門家によると、カバンのカギはカバンの中から見つかっており、ウィリアムズさんが自分でカギを閉めた可能性は無いという。

 ロンドン警視庁は現在も、何者かがウィリアムズさんをカバンに入れるのに協力したとみて、捜査を続けている。

■ボンデージサイト訪問、女性用ブランド服多数

 ウィリアムズさんは死のおよそ半年前ごろから、ボンデージサイト5か所を訪問していたという。

 ジャッキー・セバイア(Jackie Sebire)刑事は記者団に「これらのサイトは女性がメインとなっており、特定の事柄を行うための手引きを記載している」と説明した。

 また、ウィリアムズさんの自宅からは、トップスやドレス、靴、それに女性用かつらなど、未使用の女性用ブランド服、約1万5000ポンド(約190万円)相当が見つかった。

 ウィリアムズさんは2009~10年にロンドンの有名ファッション校、セントラル・セントマーティンズ・カレッジ(Central St Martin's College)でファッションのコースを2つ受講しており、これらの衣装がその授業に関連するものである可能性もある。

 死亡したウィリアムズさんは、数日内にも1年間のMI6での任務を終えて、イングランド南西部チェルトナム(Cheltenham)の政府通信本部(Government Communications HeadquartersGCHQ)で、通信を監視して情報収集する「聴取業務」に復職する予定だった。(c)AFP

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