ノーベル平和賞授賞式、無人の椅子にメダルと賞状
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【12月11日 AFP】2010年ノーベル平和賞授賞式が10日、ノルウェーのオスロ(Oslo)で行われ、ノルウェー・ノーベル賞委員会(Norwegian Nobel Committee)のトルビョルン・ヤーグラン(Thorbjoern Jagland)委員長が中国の民主活動家、劉暁波(Liu Xiaobo)氏(54)に贈られたメダルと賞状を、無人の座席の上に置いた。劉氏は中国で実刑判決を受け、現在も収監中だ。
中国政府は劉氏のノーベル賞平和賞受賞に強く反発し、授賞式会場のオスロ市庁舎周辺には中国を支持するデモ隊が集まった。また、約20か国の大使が中国からの警告を受けて式典を欠席したが、前年の平和賞受賞者のバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は劉氏の釈放を呼びかけた。
■「自由を求める運動は止められない」
会場では、自由を求める運動は止めることができない、との劉氏の文章が読み上げられた。
ヤーグラン委員長は式典で「きょうここに受賞者がいないことを残念に思う」と述べ、「劉氏は公民権を行使しただけ。悪いことはなにもしていない。釈放されなければならない」と語った。
式典には各国大使や、俳優のデンゼル・ワシントン(Denzel Washington)とアン・ハサウェイ(Anne Hathaway)、それにナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)米下院議長、ノルウェー国王夫妻らが列席し、劉氏が前年の実刑判決前に執筆した文章の朗読に耳を傾けた。
■中国本土、テレビ中継は黒画面に
香港(Hong Kong)では、劉氏を支持する人びとが公園に集まり、大画面で平和賞の授賞式典を見つめ、歓声を上げた。
しかし中国本土では、劉氏の平和賞受賞に強く反発する中国当局が米CNNテレビや英BBCテレビによる授賞式典の生中継を遮断。テレビ画面は真っ黒になった。
また、人権団体によると、多数の中国の反政府活動家らが授賞式当日に当局の厳しい監視下に置かれた。活動家らは、インターネットへのアクセスが遮断されたり、電話の使用が制限されたりして外部と連絡をとれない状態に置かれたという。(c)AFP/Nina Larson