【12月9日 AFP】中米パナマで8日、記録的な豪雨のため世界の貿易貨物の約5%が通航するパナマ運河(Panama Canal)が閉鎖された。

 パナマ運河庁(Panama Canal AuthorityACP)によると、パナマ運河の一部をなすガトゥン(Gatun)湖と運河に近いアラフエラ(Alhajuela)湖の水位が過去最高レベルに達し、水量調節用の堰(せき)を開ける必要が生じたためパナマ運河を閉鎖した。パナマ運河庁関係者は、「数時間以内に運河の航行を正常化すべく作業を進めている」と述べた。パナマ運河庁によると、パナマ運河が閉鎖されたのは米軍がパナマに侵攻した1989年以降では初めて。

 パナマのリカルド・マルティネリ(Ricardo Martinelli)大統領によると、記録がある過去73年間で最悪となった今回の豪雨で、増水した河川で少女2人が溺死するなど少なくとも8人が死亡したほか、約1500人が住居を失い避難所生活を強いられている。

 太平洋の中央部から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で、赤道付近の海面水温が例年より低くなるラニーニャ現象のため、ラテンアメリカ諸国ではこのところ豪雨に見舞われている。

 パナマの隣国、コロンビアでは5日に発生した大規模な地滑りでこれまでに少なくとも46人が死亡した。コロンビアの東隣のベネズエラでも洪水などで前週だけで35人が死亡し、6人が行方不明になっている。(c)AFP