【12月5日 AFP】スペイン各地の空港で3日夕、大半の航空管制官が勤務中に一斉に体調不良を理由に職場を放棄した。労働時間延長などに反対し、指導部の意思に反した無統制の「山猫スト」に突入したもので、4日も同国内の空の便は混乱、政府が緊急事態を宣言する事態に発展した。

 管制官たちのストライキにより、スペインのほぼ全土の空港がまひに陥った。ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ(Jose Luis Rodriguez Zapatero)首相はスト開始後の3日夜、航空管制業務を軍へ移管した。

 政府は4日、緊急閣議を開き、15日間の緊急事態を宣言した。スペインで同宣言が発令されるのは、独裁体制を敷いていたフランシスコ・フランコ(Francisco Franco)総統が1975年に死去して以降初めて。

 閣議後に記者会見したアルフレド・ルバルカバ(Alfredo Perez Rubalcaba)内相は「出勤しなかった場合、管制官は軍法規に基づき禁固刑を科されうる」と述べた。この警告を受け、同日中に管制官らは職場に復帰したとルバルカバ内相は述べた。スペイン空港事業団AENAでは、48時間以内に通常の運航スケジュールに戻ると見込んでいる。ただし緊急事態宣言は撤回されておらず、必要に応じて延長される可能性もあるという。

 スペインでは6日と8日が祝日で、7日も休日として5連休をとる人が多く、推計30万人に影響が出たとみられる。AENAの広報担当者によると、少なくとも4日午後7時(日本時間8日午前3時)まで国内便全便がキャンセルされた。またイベリア(Iberia)航空、エールフランス(Air France)、KLMオランダ航空(KLM Royal Dutch Airlines)、タイ航空(Thai Airways)、スパンエア(Spanair)、ライアンエア(Ryanair)などは5日朝の便までキャンセルした。(c)AFP/Katell Abiven