【11月30日 AFP】英国放送協会(BBC)は29日に放映した報道ドキュメンタリー「パノラマ(Panorama)」のなかで、国際サッカー連盟(FIFA)の理事ら3人が巨額の賄賂を受け取っていたと報じた。

 不正が指摘されたのは、ブラジルサッカー連盟のリカルド・テイシェイラ(Ricardo Teixeira)会長、アフリカサッカー連盟のイッサ・ハヤトウ(Issa Hayatou)会長、南米サッカー連盟のニコラス・レオス(Nicolas Leoz)会長の3理事。

「パノラマ」が国際スポーツマーケティング企業ISLから入手した資料によると、3人には同社から1989~99年にかけて計175回、総額1億ドル(約84億円)の賄賂が支払われていた。W杯や大規模スポーツイベントのテレビ放映権やマーケティング権を保有していたISLは、2001年に経営破たんした。

 さらに「パノラマ」は、FIFAのジャック・ワーナー(Jack Warner)副会長についても、W杯チケットを不法に闇市場で売りさばいたと報じている。
 
 12月2日には、スイス・チューリヒ(Zurich)で2018年と22年のW杯開催地を決定するFIFA理事会が開かれるが、18年のW杯開催地に立候補しているイングランドにとって、開催地決定にはワーナー副会長の後押しが欠かせないとみられていただけにBBC報道は痛手だ。このため、イングランドのW杯招致委員会は、報道のタイミングについて、「愛国心を欠く」とBBCを非難している。

 18年W杯の開催地には、イングランドのほか賭け率第1位のロシアと、スペインとポルトガル、オランダとベルギーが共催で立候補している。同時に決まる22年の開催地には日本のほか、オーストラリア、米国、カタール、韓国が名乗りを上げている。

■開催国決定の延期を求める声も

 一方、世界各国の汚職実態を監視するドイツの非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International)」は29日、BBCの報道を受け、疑惑が明らかになるまで開催国の決定を延期するようFIFAに呼びかけた。(c)AFP