【11月22日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI、83)が、条件付きで初めてコンドーム使用を容認するコメントをしていたことについて、エイズ撲滅活動家からは、避妊を禁じてきたカトリック教会の過去と決別し、多くの生命を救う画期的なコメントだと歓迎する声が上がっている。

 法王のコメントは、ドイツ人ジャーナリスト、ペーター・ゼーバルト(Peter Seewald)氏とのインタビューで述べたもので、法王は「倫理上の解決手段として」との条件付きで、コンドームの使用は正当化されるとの見解を示した。

 今週発売予定の書籍『Light of the World: The Pope, the Church and the Signs of the Times(世界の光:ローマ法王と教会、そして時代のしるし)』に収録されたインタビューのなかで、法王はコンドームの使用について、「(HIV)感染の予防など、ある一定の状況においては、より人道的な性行為の一手段として第一歩となりうるだろう」と語っている。 

 これに対し、フェデリコ・ロンバルディ(Federico Lombardi)広報局長は、法王のコンドーム容認コメントは、あくまでも例外的な状況における限定的措置である点を強調。「性行為によって他者の生命に危険がおよぶなど、特殊な状況を想定したもの」であり、カトリック教会の方針からの「画期的な大転換」などではないとする声明を即時に発表した。
 
 法王はインタビューのなかで、コンドーム使用が容認される場合として、男娼の例を挙げている。「個人個人の状況によって(コンドームの使用が)正当化される場合もあるだろう。例えば、売春を職業とする男性がコンドームを使うことは、責任感を持つ第一歩であり、あらゆる欲望が許されるわけではないとの理解を促すことにもつながる」

 その一方で、法王は「ただし、コンドームの使用はHIV感染を防ぐ適切な手段ではない」とも釘を刺しており、ロンバルディ局長も、「この例外的な事例においても、法王は乱れた性慣習を倫理的に正当化してはいない。ただ、コンドームの使用は『責任ある性行為の第一歩』ととらえているだけだ」と説明している。(c)AFP/Ljubomir Milasin

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