【11月13日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は13日、横浜市で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)最高経営者サミットで講演し、同地域の自由貿易圏構想を推進する決意をあらためて示した。

「米国民の安全と繁栄は、アジアの安全と繁栄と表裏一体だ」と述べたオバマ大統領は、米国の貿易パートナーの上位15位までのうち7か国・地域がAPECに加盟していると指摘。今月の米中間選挙でオバマ政権に厳しい評価を下した米国民を意識してか「国外に10億ドル(約825億円)輸出するたびに、国内に5000人の職が維持される」とも語り、環太平洋連携協定(Trans-Pacific PartnershipTPP)の合意を目指す決意を示した。

 TPPはブルネイ、シンガポール、チリ、ニュージーランドの4か国が参加している自由貿易協定で、現在米国や豪州などが参加の意思を表明して交渉を開始している。

 物の流れの自由化はAPECの主な目的のひとつだが、APEC首脳会議に先立って11~12日に韓国で行われた20か国・地域(G20)首脳会議で、各国間、特に米中間の対立が浮き彫りになった。米中は互いに、相手国が輸出に有利になるよう自国通貨安に誘導していると批判し、米国は中国に貿易黒字の削減策を取るよう求めているが、中国はこれを拒否している。

 オバマ大統領はこの点にも触れ、「巨額の貿易黒字がある国は輸出への不健全な依存をやめ、内需拡大策を取るべきだ。いかなる国も、アメリカに輸出さえすれば経済的に繁栄できると考えるべきではない」と述べた。

 中国の胡錦濤(Hu Jintao)国家主席もAPEC最高経営者サミットで講演し、中国は通貨改革と自由で均衡の取れた貿易に向けた対策を進めていくと表明したが、中国のような途上国に他国があまり多くの要求をすべきではないとも述べた。(c)AFP