【10月22日 AFP】ドイツのベルリン自由大学は13日、ベルリン(Berlin)で最新の自律走行車「MIG」を公開した。MIGは「Made In Germany(ドイツ製、の意)」の頭文字をとったもの。カメラ、レーザースキャナー、熱センサー、衛星航法を使って、トンネルの中でも、他の車や歩行者を「見ながら」、信号機に従って走行できる。

 不測の事態に備えて人間も乗っているが、人間が何もしなくても乳母車が道路を横断していれば自動的に止まるし、駐車している車があれば上手によけて進む。人間は前方しか見ることができないが、車は全方向、70メートル先まで「見る」ことができる。

 この車を開発した同大学のラウル・ロハス(Raul Rojas)教授は、「そのうち、安全上の理由で人間が運転することが禁止されるでしょう」との見通しを語る。「いまの車は一昔前の馬みたいなものですよ。この技術は今後5~10年で空港、工場、倉庫などの民間の分野に応用される可能性があります。自動車道への応用は・・・10~20年先、都市内交通への応用は20~30年先というところでしょうか」

■交通事故防止と環境保全に有効

 メキシコ出身のロハス氏は、自家用車よりもカーシェアリングされた自律走行車が活用されるようになり、自動車の台数が激減すると信じている。「自律走行車は真の意味で『グリーンな』車です。車の台数は、現在走っている車のごく一部で済むようになるでしょう。もし中国とインドがわれわれと同程度のモビリティを求めるなら、地球は小さすぎます。持続可能性と資源保護の点で唯一現実的なソリューション、それがカーシェアリングなのです」

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)によると、世界で毎年100万人を超える人が交通事故で死亡し、5000万人が負傷している。自律走行車に賛成する人たちは、自律走行車は交通事故の死傷者を大幅に減らせるとしている。

■各国で開発進む

 MIG以外にも自律走行車は作られている。ドイツのブラウンシュバイク(Braunschweig)では、MIGが公開された前の週には「レオニー(Leonie)」と名づけられた車が実際の道路を走った。イタリアやその他の国でも道路での試験が行われている。米インターネット大手グーグル(Google)は9日、米サンフランシスコ湾(San Francisco Bay)付近の公道ですでに22万5000キロ以上の試験走行を行ったことを明らかにした。

 ベルリン自由大学とグーグルのプロジェクトに参加した技術者の中には、米国防総省の高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects AgencyDARPA)が主催して世界から35チームが参加した2007年のロボットカーレース、「アーバンチャレンジ(Urban Challenge)」に挑戦した者もいる。

「あのときはカリフォルニア(California)で行われたただのレースでしたが、今や世界的な競争です。実際の道路を使うので、2007年のレースよりもはるかに複雑になっています」とロハス氏は説明した。(c)AFP/Simon Sturdee