【10月21日 AFP】仏ボルドー(Bordeaux)の私立病院で、「間違いなく臨床的に死亡した」と宣告された女性が14時間後に何事もなく目覚めていたことが、20日明らかになった。女性の息子たちが宣告後も人工呼吸器を外すことに反対したのが幸いした。

 この女性は、がんで入院していたリディ・ペラール(Lydie Paillard)さん(60)。病院関係者によるとペラールさんは、医師が化学療法の準備をしていたところ、突然意識を失った。医師は蘇生を試み、人工呼吸器を装着。その後、ほかの医師らとも相談した上でペラールさんの息子たちを呼び、母親が「臨床的な死を迎えたことはほぼ確定的」だと告げた。

 だが息子たちは、人工呼吸器を外すことを拒否。ペラールさんは市内の大学病院に搬送され、精密検査が行われた。この検査でペラールさんが脳死ではないことが判明、ペラールさんは14時間後に意識を取り戻した。

 死亡宣告をした病院の院長は、「一種の奇跡です」とコメント。医師の診断については、ペラールさんの「蘇生」に成功し「彼女の命を救った」以上、「医療ミスではなくコミュニケーション・エラー」だったと表現した。 

 ペラールさんはAFPの電話インタビューに対し、「吐き気を抑える薬を注射されているときに気分が悪くなったことだけは覚えています。(騒動のあと)今は、以前よりも疲れを感じます」と話した。(c)AFP