【10月20日 AFP】フランスの歴史家クリスティーヌ・バール(Christine Bard)がフランス革命から現在までの女性のパンツ・スタイルの遍歴についてまとめた書籍『Political history of trousers』を刊行した。

「1800年代、女性のパンツ(ズボン)の着用は法によって禁じられていました。着用には特別な許可が必要でした」と語る。「当時、パンツは男性の権力的なシンボルであっただけでなく、男女という二つの性を分離するためのものでもありました」とバール。「よって、パンツ・ルックの女性は『服装倒錯者』として非難されました。社会的、道徳的、政治的な道理を脅かすものと考えられたのです」。

 そんな中、パイオニア的存在となったのは19世紀に活躍した男装の作家ジョルジュ・サンド(George Sand)。サンドはジャケットにタイ、パンツといった装いで権利の平等を訴えた。また、女優のマレーネ・ディートリッヒ(Marlene Dietrich)は1930年代にハリウッド映画で男装を披露し、パンツ・スタイルをセクシーなファム・ファタール的衣装として世に知らしめた。

 実用的な衣服が標準となった第二次世界大戦中、工場で働く女性たちはパンツを着用した。これが、その後のパンツ・スタイル承認の広がりへの鍵になったという。

 パンツがはじめてランウェイに登場したのは1960年代のことだ。イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)は1966年に女性用のディナースーツ「スモーキング・ルック」を発表した。バールは「サンローランの影響に感謝しなくてはいけません」と語る。

 1970年代に入るとパンツ・スタイルは急速に広まっていく。「女性の権利との闘いの中、スポーツウェアからブルージーンズまで、様々なパンツ・スタイルが広まっていきました」とバール。「パンツ・スタイルは女性の平等に向けた闘争のための指標となったのです」

 しかし闘争が終わった現在、パンツを「はかない権利」は「はく権利」と同等の重要性を持っており、「選択の自由こそが重要」だとバールは主張。西欧ファッションにおける次なる開拓分野として「男性用スカート」可能性を示唆した。(c)AFP/Ana Maria Echeverria

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