【10月19日 AFP】「プラスサイズ・モデル」と称されるふくよかな体型のモデルたちが雑誌の表紙やテレビ、ランジェリーカタログなどで活躍の幅を広げている。フランス版「エル(Elle)」は今年3月にプラスサイズ・モデルたちを起用した特集号を発売。好調な売り上げを記録した。しかしながら、各国で開催されるファッションショーでは、プラスサイズは依然として「例外」扱いのようだ。

 11年春夏ニューヨークコレクションでは、プラスサイズの女性に向けたスペシャル・ファッションショーが初めて開催された。しかし、このイベントはあくまでも主流のデザイナーのランウェイショーの片隅でひっそりと開催されたもの。やせ過ぎモデルに対する議論が続いている中にも関わらず、ファッション・ウィーク全体では今も「ほっそりとした体型」がお決まりになっている。

■プラスサイズへの需要

 プラスサイズ専門のモデル事務所「ヒューズ・モデルズ(Hughes Models)」のブッキング担当サラ・トラバース(Sarah Travers)は「いつもショーでプラスサイズ・モデルが起用されることを祈っています。これまでのところ、毎回落胆させられていますが」と語る。「私たちは20年間にわたりプラスサイズのモデルや女性たちを奨励してきました。英国女性の平均的なサイズは14~16。ファッション産業は、それに気付くのがとても遅いと思います」

 シェリル・ヒューズ(Cheryl Hughes)によって約20年前に設立された「ヒューズ・モデルズ」はプラスサイズ専門モデル事務所の草分け的存在だ。現在では、プラスサイズを専門としたモデル事務所やクライアントが増加しつつある。同事務所に所属する25歳のモデル、ラウラ(Laura)は「私が対象とするマーケットはサイズ14~16です。一度も体重を落とすように命じられたことはありません。体重が減ると、仕事が減ってしまうので」と語る。「素晴らしいことに、最近私たちも編集ページやハイファッションの仕事が増えてきました。しかし、より一層の拡大が必要です。ハイファッションブランドには、美しい曲線を持った女性たちの要求を満たして欲しいと思います」

■やせ過ぎにNO

 やせ過ぎのモデルに対する議論は、ブラジル人モデルアナ・カロリナ・レストン(Ana Carolina Reston)さんが06年に拒食症が原因で死去したことをきっかけに本格化した。その後、スペインとイタリアでは一定の肥満度指数(BMI値)に達しないモデルのショー出演を禁止。一方で、イギリスでは16歳未満のモデルの起用を禁止するのみにとどまった。

 しかしヒューズは、16~20歳のモデルが、ファッション産業からのプレッシャーに押しつぶされる危険が最も高い時期だと警告する。「業界が15~16歳の少女をピックアップすることに一部の責任があると思います。ほっそりとした子どもが女性的なサイズに成長するとき、彼女たちにはひどい試練が降りかかるのです。少女たちの多くは変化に上手く対処できません」

 08年には、事務所から12キロの減量を命じられた英国人モデルのケイティー・グリーン(Katie Green)が「Say No to Size Zero(サイズ・ゼロにノーと言おう)」運動をおこし、多くの賛同を得た。「サイズ・ゼロは恐ろしい。私たちは多くの犠牲者を出してきました。とても悲しいことです」とトラバース。「この動きが大きなスタートとなり、ランウェイにも影響を与えることでしょう」。(c)AFP

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