【10月18日 AFP】世界では今後40年で女性の影響力が飛躍的に高まる一方、イスラム教徒の欧米移住が進むと予測した報告書をトフラー・アソシエイツ(Toffler Associates)が前週、発表した。

 トフラー・アソシエイツは『第三の波(The Third Wave)』の著者として知られる未来学者アルビン・トフラー(Alvin Toffler)氏が共同創設したシンクタンク。報告書は同氏のベストセラー『未来の衝撃(Future Shock)』が1970年に刊行されてから40周年を記念して実施した、今後40年の未来を予測する調査結果をまとめたもの。

 トフラー氏は、40年前の著書のなかで、科学技術は飛躍的に進歩し、情報が瞬時に世界中に届けられるようになり、同性婚が認められ、環境破壊が進行するなどと予言している。

■中国が世界の経済大国に

 一方、今回、発表された報告書によると、今から40年後、南米諸国の経済力が高まり、中東では宗派や民族問題が複雑化する。中国は自国を世界の経済大国と位置づけ、ブラジルやインドとともに通貨への影響力を駆使。また、南米のベネズエラやアフリカの国々をエネルギー供給国として自陣に取り込んでいる。

 さらに、石油エネルギーから代替エネルギーへの移行が進んだ結果、サウジアラビア、イラン、イラク、湾岸諸国やロシア、ベネズエラなどの産油国が敗者となる可能性も指摘している。

■気候変動で海底資源めぐる争いも

 環境面では、気候変動で北極圏などで氷が溶解し採掘が可能となった海底資源をめぐる争いが生じるほか、海面上昇で居住地の移動を余儀なくされる住民も出てくると予測した。

 また、食料を大手生産業者や流通業者らに依存せず、自給自足の生活をする人びとが増加するとしている。

 さらに、高齢化が進み、2050年の高齢者長期介護費用は現在の4倍近くにふくれあがると予測している。

■世界的に女性の指導力が高まる

 一方、報告書は、かつてない勢いで世界各国で女性の指導力が高まると予測している。人口のほぼ半数を占める女性の意思決定参加なしには、成功はないと各国政府が悟るためだ。

 また科学技術面では、40年以内に世界は「ペタバイト(PB、約1000兆バイト)」の時代に突入すると予測。高速インターネット網やビデオ会議システムのコストダウンにより、オフィスワーカーたちは社内のデスクから解放され、世界のどこからでも仕事が可能となるだろうとまとめている。(c)AFP/Karin Zeitvogel