【10月12日 AFP】これまで知られていなかった青銅器時代の新たな文明の遺跡が、40年前に撮影された空撮写真をもとに、ロシア・カフカス山脈地帯で発見された。発見した研究者らが11日、明らかにした。

 ロシアとドイツの共同調査チームが、5年間にわたってロシアの北カフカス地方で遺跡の調査を行っていた。

 調査チーム主任のアンドレイ・ベリンスキー(Andrei Belinsky)氏は、AFPの取材に「キスロボツク(Kislovodsk)の南の山岳地帯の高地で、紀元前16~14世紀ごろの文明を発見した」と語った。

 見つかった遺跡は西がクバン(Kuban)川、東がナリチク(Nalchik)市のおよそ100キロの範囲に点在し、約200か所の遺跡で最大1メートルの高さの石づくりの土台が発見された。土台は、どれもが「明らかに同じ建築計画に基づいて建築されたもの」で「中央にだ円形の広場があり、そこに複数の道路が通じていた」という。

 遺跡から青銅器の装飾品などが発見されたことから、この地域の文明が、19世紀末にカズベク山(Mount Kazbek)のふもとで発見されたクバンの文明と関連がある可能性もある。クバンの文明は、芸術的な青銅器の装飾品で知られている。

 遺跡発見には旧ソ連に撮影されたモノクロ写真が大きな役割を果たした。調査チームは、GPS(衛星利用測位システム)などの現代の研究技術を用いて、写真をもとに遺跡の場所を特定。遺跡は標高1400~2400メートルの高地だった。

 ロシア科学アカデミー(Russian Academy of Sciences)のカフカス地方に詳しい考古学者、バレンチナ・コゼンコバ(Valentina Kozenkova)氏は「歴史的に重要な発見だ」と語った。

 コゼンコバ氏は、「これは史上類を見ない発見だ。特に、同じ地域から発見された遺跡の数(が比類するものがない)」と述べ、「遺跡があった場所のおかげで200か所の遺跡は非常に保存状態が良い。このことも今回の発見の価値を高めている」と評価した。(c)AFP