【10月9日 AFP】獄中にいる中国の民主活動家、劉暁波(Liu Xiaobo)氏へのノーベル平和賞授与が決定したことについて、中国国営英字紙・環球時報(Global Times)は9日の社説で、ノーベル賞委員会の「愚かで傲慢で偏見に満ちた」決定だと非難した。

 社説は、ノーベル平和賞は「反中という目的に使われる政治的道具に成り下がっている」と続け、さらに亡命しているチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世が1989年の同賞を受賞したことにも関連づけ、「過去30年にわたり最も著しい経済的・社会的発展を遂げた国に対し、ノーベル賞委員会は今一度、自らの傲慢さと偏見を露呈した。この2人のどちらも近年の中国の平和と成長に貢献していない」と強く反発したした。

 中国の政治改革を呼びかけた文書「08憲章」を起草、流布したとして、国家政権転覆扇動罪で09年12月に懲役11年の実刑判決を受け服役中の劉氏について、中国政府は繰り返し「犯罪者」と表現している。

 今回のノーベル賞授賞決定については、同国内の中国語メディアでは、中国政府の憤りの反応を通じてしか報じられていない。

 中国のポータルサイト「新浪網」や「捜狐」で現在、「ノーベル平和賞」と「劉暁波」という語の組み合わせで検索をかけると、検索結果はないという表示しか出ず、またマイクロブログ、人民微博(Renmin Weibo)でも何もヒットしない状態になっている。

 国営中国中央テレビ(China Central Television)は8日夜のニュース番組で劉氏については何も触れず、トップニュースは南部・海南(Hainan)省の洪水についてだった。米CNNや仏TV5といった国際テレビの放送は、政府の検閲で遮断された。

 またAFP特派員が試した結果、劉暁波氏の氏名を含んだテキスト・メッセージの送信も妨害されているようだ。(c)AFP

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