【10月7日 AFP】日本の調査捕鯨に対する妨害活動をめぐり、傷害罪などで執行猶予付きの有罪判決を受けた米環境保護団体シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation SocietySS)の抗議船の元船長が7日、抗議船沈没はSS側の自作自演だったと暴露し、SS代表を批判した。

 日本の調査船「第2昭南丸(Shonan Maru No. 2)」と2009年1月に南極海で衝突して沈没した高速抗議船「アディ・ギル(Ady Gil)」号のピーター・ベスーン(Peter Bethune)元船長(45)は、地元ニュージーランドのラジオ番組に出演し、衝突後にSSのポール・ワトソン(Paul Watson)代表から、アディ・ギル号を沈没させるよう指示があったと語った。

 ベスーン氏によると、アディ・ギル号は「間違いなく救出可能な状態で、エンジン室から後方は無傷で頑丈だった」が、ワトソン代表が「人々の同情を集め、テレビ映りをよくする目的で」沈没させるよう命じたという。

 ベスーン氏はワトソン代表のこうした対応について「道徳的に破産している」と批判。「市民の寄付金と寛容さによって維持されている組織は、誠実である義務がある」と述べ、現在はSSとの関係を絶ったことを明かした。

 一方、ワトソン代表はベスーン氏の発言を否定。SSから除名されたことをベスーン氏は苦々しく思っていたとして、「沈没させろなどとは誰も命じていない。彼はアディ・ギル号の船長で、アディ・ギル号に関する判断の全ては彼が下したものだ」と反論した。

 SSはことし、5か月間にわたって日本で拘置されていたベスーン氏の裁判に先だってベスーン氏を除名し、距離を取っていたが、その後、除名は減刑を得るための策略だったことを明らかにしていた。(c)AFP

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