【9月22日 AFP】映画「007」シリーズで知られる英対外情報部「MI6」が21日、初めて正史を出版した。創設された1909年から冷戦が始まった1949年までの40年間を網羅し、ジェームズ・ボンド(James Bond)ばりのスパイ活動などを解説している。

 執筆したのはベルファスト(Belfast)・クイーンズ大(Queen's University)のキース・ジェフリー(Keith Jeffrey)教授(歴史学)。極秘文書の閲覧を特別に許され、全810ページの『MI6』を書き上げた。

 スパイたちは、船を爆破したり、ナチスや旧ソ連の指導部に潜入したりする一方で、シャンパンをたしなみ、異性を誘惑するテクニックを磨いていた。まさにスパイ小説顔負けの場面が展開される。

 英有名作家のグレアム・グリーン(Graham Greene)、ウィリアム・サマセット・モーム(William Somerset Maugham)、アーサー・ランサム(Arthur Ransome)がMI6の部員であったことも、初めて確認された。 

 スパイの一員であるビル・ダンダーデール(Bill Dunderdale)は、「007」シリーズの原作者イアン・フレミング(Ian Fleming)の親友だった。ダンダーデールは「美人と高速車に執着して」おり、これが「007」シリーズ着想のきっかけになった可能性があるとしている。

■「殺しのライセンス」は幻想

 MI6のスパイには「殺しのライセンス」が与えられていたとされるが、これは「神話」に過ぎないとも指摘している。スパイが違法な殺人を行った例は40年間で2件に過ぎなかった。 

 ジョン・スカーレット(John Scarlett)前MI6長官は、出版記念イベントで、正史の出版を「革新的な一歩だ」と評した一方で、続編の出版計画はないと語った。(c)AFP