【9月19日 AFP】ローマ法王として16世紀以来初の英国公式訪問中のベネディクト16世(Benedict XVI、83)は18日にロンドン(London)で行われたミサで、世界各地で問題となっているカトリック聖職者による性的児童虐待について謝罪した。

 ベネディクト16世は16日に英国入りしたが、エディンバラ(Edinburgh)へ向かう航空機の中で報道陣に対し、聖職者による性的な児童虐待についてカトリック教会の注意は不十分だったと述べていた。18日のミサではさらに、この問題に関する公の発言としてはこれまでで最も明確に、「言葉で表せないほどの罪」を恥ずかしく思う、と表現した。

 この日ベネディクト16世は、女性4人、男性1人の児童虐待の被害者とも面会した。ベネディクト16世は08年に米国とオーストラリアで、今年4月には地中海の島国マルタでも、カトリック聖職者による虐待の被害者と会っており、マルタでは涙を流しながら話を聞いた。

 しかし、英国の児童虐待被害者のための全国組織、NAPACNational Association for People Abused in Childhood)のピーター・サンダース(Peter Saunders)会長は、ローマ法王は自分の立場が追い込まれて謝罪発言に至ったと、厳しい評価を下した。

 一方、伊紙イル・ファット・クオティディアーノ(Il Fatto Quotidiano)のローマ法王庁担当アナリスト、マルコ・ポリティ(Marco Politi)氏はAFPに「今回の英国訪問は、児童虐待問題一色になっている。法王が遺憾の意を表明するだけでは世論は納得しないだろう。世論が求めているのは、過去30年間に起きたことを白日の下にさらすことだ」と語った。(c)AFP/Gildas le Roux