【9月14日 AFP】南太平洋、フィジー諸島の軍事政権は13日、中国武術「太極拳(tai chi)」の指導者を中国から招へいし、国をあげて太極拳を学ぶと発表した。

 中国とフィジーとの関係の深まりを象徴するこの出来事は、ことし中国のLiu Pengスポーツ相がフィジーを訪問した際に合意された。フィジーのフェリペ・ボレ(Filipe Bole)教育相が語った。

 ボレ氏によると、太極拳の指導者は13日にフィジーに到着する。3か月間の滞在予定で、閣僚や公務員、警官、兵士、一般市民に太極拳を伝授するという。

 ボレ氏は、太極拳は護身術として役立ち、健康にも良いと述べ、「太極拳は『動く瞑想(めいそう)』などとも呼ばれている。深呼吸をしながら、注意をはらってゆっくりと少しずつ体を動かすのだ」と語った。

 従来の友好国だったオーストラリアやニュージーランドがボレンゲ・バイニマラマ(Voreqe Bainimarama)暫定首相の軍政を非難していることもあり、中国との関係をいっそう強化させようとするフィジーの取り組みが、この異例の太極拳指導者の招へいへとつながった。

 バイニマラマ暫定首相が2006年にクーデターで権力を掌握して以降、オーストラリアとニュージーランドの働きかけもあり、フィジーは、英国元植民地が中心となる英連邦(Commonwealth)と、太平洋島しょ国16か国が加盟する太平洋島しょ国会議(Pacific Islands ForumPIF)の加盟資格を停止された。

 そこでバイニマラマ暫定首相はほかの友好国を探し求め、前月、2014年に実施するとしている総選挙前に暫定政権が行おうとしている改革に対して、中国側が理解を示したと述べていた。

 フィジーはほかにもインドネシア、南アフリカ、ブラジルと外交交渉を開始すると発表している。(c)AFP