【9月13日 AFP】フランス・リヨン(Lyon)で修復工事中のサン・ジャン(聖ヨハネ)大聖堂にこのほど、イスラム教徒の現場監督をモデルにしたガーゴイルが作られた。ガーゴイルの足もとにはアラビア語で「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」と刻まれており、地元保守派グループは強く反発している。

 ガーゴイルは、中世の大聖堂などの建築物の屋根に設置される怪物をかたどった彫刻で、雨樋の機能を持つ。

 イスラム教徒のベンジジン・アフメド(Benzizine Ahmed)さんをモデルにしたガーゴイルを作ったのは、現場で働くフランス人の石工、エマニュエル・フルシェ(Emmanuel Fourchet)さん。中世の伝統にならい、30年間ともに働いてきた同僚に敬意を表してアフメドさんの顔に似せたガーゴイルを作り、アラビア語とフランス語で「神は偉大なり」と刻んだ。

 大聖堂側はこのガーゴイルについて、教派間や宗教間の対話をめざす「エキュメニカル運動」のシンボルとなるとして問題視してないが、地元の保守派グループは激怒。「多くのイスラム教国ではキリスト教が禁じられ、迫害を受けている。しかしリヨンではローマ・カトリック教会(Roman Catholic Church)と共謀してイスラム教徒が教会を乗っ取っている」と批判している。(c)AFP