【9月9日 AFP】中国人の国連(UN)事務次長が前週、夕食会の席の乾杯のスピーチで、酒に酔って上司である潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長に暴言を吐いた――。米外交専門誌「フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)」電子版が9日、出席した国連関係者の話として伝えた。

 経済社会問題担当の沙祖康(Sha Zukang)事務次長(62)は前週、オーストリア・アルプバッハ(Alpbach)での夕食会で潘事務総長に乾杯をささげる際で、「事務総長――あなたはわたしをこれっぽっちも好きではないが、わたしもあなたを好きになったことは一度もない」と述べたという。

 同誌によると、沙事務次長はこの発言の際、すでに「酒を数杯」飲んだ後で、明らかに酩酊状態だったという。

 沙事務次長はさらに、潘事務総長が自分を「排除しようと試みてきた」「いつだってクビにできる」などと暴言を続け、「(国連本部のある)ニューヨーク(New York)になんか来たくなかった。絶対にいやだったのに」と述べた。その後、やや語調を和らげて、「だが、国連を愛するようになってきたし、あなたの一部の特質については称賛の念が湧きつつある」と、潘氏に肯定的な言葉を差し挟んだ。

 沙氏の非難の矛先は、米国人の同僚にも向けられ、「アメリカ人ってやつはどうも好きになれない」と語ったという。

 なお、国連関係者によると、沙氏は翌朝早くに潘氏に面会を申し込み、直接謝罪した。深く反省している様子だったという。

 2007年7月から現職にある沙氏は、歯に衣着せぬ発言で知られる。中国の王光亜(Wang Guangya)元国連大使は、沙氏を激しやすいことで有名だった前米国連大使に例えて「中国外務省のジョン・ボルトン(John Bolton)」と評したことがある。

 沙氏の事務次長就任に向けて活発なロビー活動を展開し、潘氏の事務総長就任の後ろ盾にもなった中国政府にとっては、少々きまりの悪い騒動となった。(c)AFP