【9月6日 AFP】サッカーなどのスポーツで、前十字靱帯(じんたい)を損傷する女子選手が男子選手の2倍以上に上る理由を説明した論文が、1日の米医学誌「Journal of Bone and Joint Surgery(骨と関節の手術ジャーナル)」に掲載された。

 米ワシントン大学医学部(Washington University School of Medicine)の整形外科医ロバート・ブロフィー(Robert Brophy)氏らの研究チームは、男子サッカー選手13人、女子サッカー選手12人を対象に、3D動画をベースにした動作分析と筋電図検査を行い、ボールを蹴るときのひざのアラインメントと筋活動について、男女間の違いを調べた。

 その結果、男子選手の方が女子選手に比べて、ボールを蹴る足の股関節屈筋と軸足の股関節外転筋が活性化していることが分かった。また、中臀筋と内側広筋も、男子選手では女子選手の2倍以上活性化していた。

 元プロサッカー選手のブロフィー医師は、股関節屈筋の活性化によって前十字靱帯が損傷から守られている可能性を指摘。女子選手は股関節屈筋があまり活性化しないため、ボールを蹴るときに筋肉の内転が起こりやすく、軸足のひざ関節に多大な負荷がかかり、けがのリスクが高まるのではないかと述べている。

 同医師は、筋活動とひざアラインメント、前十字靱帯損傷の間の因果関係はまだ解明されていないとしつつ、男女間のけがリスクの違いや、女子選手のけがリスクを下げるために取るべき手段をより深く知るために、調査結果は有効だとしている。(c)AFP