【8月11日 AFP】(一部更新)香港の動物愛護団体「アジア動物基金(Animals Asia Foundation)」は9日、中国の動物園やサファリパークで動物たちが「野蛮」に扱われ、虐待されていると非難する報告書を発表した。

 同団体は2009年9月~2010年8月の1年間にわたり、中国国内の13の動物園やサファリパークを調査し、「動物たちが野蛮な扱いを受け、劣悪な生活環境に耐えることを強いられている」とまとめた。また適切な食事や住居を与えないといったケースが横行しているという。
 
 中でも多くの動物飼育施設がエンターテインメントとして動物によるショーを提供しているが、そうした芸をさせるために曲芸師が動物を「むちで打ったり、何度も叩くなど悪質な方法を使い、動物本来の習性に反することをさせており」、「残酷で虐待的」だと批判している。 

 また飼育環境についても「来場者の目にはつかない、ショーエリア後方の狭くて暗い、手入れも行き届いていないコンクリートの囲い」に押し込められている状況が明らかになった。「芸を披露している動物たちの生活環境は、動物の基本的な福祉ニーズからまったくかけ離れている。水やり場さえ見当たらない場合も多い」という。

 報告書には多数の写真が掲載され、互いにボクシングをするよう強要されたり、綱の上をオートバイで走らされるクマのほか、火の輪くぐりをするトラ、「頭で逆立ちしたり片足で回転するなどの不快で屈辱的なパフォーマンス」をさせているゾウなどの様子が紹介された。
 
 アジア動物基金のデビッド・ニール(David Neale)福祉担当ディレクターは、「自然の生息環境と似つかない状況下にいる動物を見学しても、動物への理解を深めたり、動物への尊重の念を育む啓蒙効果はないに等しい。動物に不自然な技を教え込むことも、そうした教育にまったく関係ない」と非難している。

 報告書では中国に対し、野生動物にサーカス式の芸をさせたり、また大型動物に生きた餌をやることを禁じるよう求めると同時に、動物園やサファリパークの運営にライセンス制度を設けることも要求している。(c)AFP