【8月6日 senken h】髪の毛の5分の1という超極細糸を独自の技術で織り上げ、世界一と言われるほど薄くて軽い天池合繊のオリジナル素材「天女の羽衣」。8月4日から日本橋三越本店で開催される「ジャパンクリエーションウィーク」では、これまで一般ではほとんど手にする機会がなかった天女の羽衣を用いて、世界で活躍する日本人デザイナーが作品をクリエートした。

 世界に誇れる日本の素材と日本のデザイナーの感性。2つの世界が響き合い生まれた美しい洋服は、一生の宝物になるはずだ。

■ 「イントゥーカ(intoca)」
 初めてこの素材を見てイメージしたのは、オーガンジーという素材からストレートに連想するような装飾的なアイテムではなく、ウールジャージーとのコンビネーションで少しバランスを崩したブルゾンやトレーナーといったシンプルでカジュアルな服です。この素材の特徴は半端ではない薄さと軽さですが、実際に仕立ててみて感じたのは昼間と夜の表情の変化。とくにブラックは、昼間の控え目な光沢に対して照明下では濡れているように見えます。

■ 「ジェイエイチ」 デザイナー 橋本 淳さん
 今回は究極の薄さを利用し「プリント」として使用。ベースになる生地をハリのある素材にする事で、二重に重ねた素材感が浮き出ます。それにより柄が立体的になり「3Dプリント」と呼びたい仕上がりになっています。生地としては非常に面白いですが、縫製と物性に問題が出やすいため容易に量産できないところが残念です。テーマは「メンズ⇄レディース」。メンズスタイルで作っているシャツを「天女の羽衣」を使うことで女性的に表現しています。

■ 「アバティ」 デザイナー 山口富美江さん
 組み合わせる素材によって、さまざまな質感や表情が生まれるのがこの素材の魅力。ドレープを効かせたバルーンスカートは、光があたると「天女の羽衣」が水をまとっているような不思議な輝きを放ちます。今回は、「天女の羽衣」の陰影をふんだんに出せたものに仕上がりました。上質な素材感にこだわりながらも、フリーな感覚で日常使いできる作品です。

ー世界を駆ける極薄布「天女の羽衣」とは?
 石川県にある織物会社、天池合繊が作り出す「天女の羽衣」は、現在シワ加工や箔プリントを施したもの、ステンレスを入れた特殊なものまで20種類以上。超極細の糸を使うため時間も手間も数倍かかり、主にオートクチュールの世界で使われている高級素材だ。

 1㎡あたり10グラムという驚くべき布が誕生したきっかけは、目に見えないほどの7デニールの糸が天池合繊に持ち込まれたこと。苦闘の末約2年がかりで特殊な専用織機を開発。05年、ミラノの展示会への参加をきっかけに有名メゾンの心をつかみ、06年にはパリコレに登場し注目の的に。これほど細い糸を織る技術を持つ会社は世界にほとんどなく、染色や加工まで自社で行うのはここだけ。

 今年からオペラ座のバレエ衣装にも採用され、ますます熱い視線が注がれている。(c)senken h / text:加藤陽美

【関連情報】
日本の素材×デザイナーが生む、美しき服/日本橋三越本店「ジャパン クリエーション ウィーク」(1)
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