【8月3日 AFP】1日に閉幕した中国最大のデジタル・ゲームショー、「チャイナジョイ(ChinaJoy)」を訪れた来場者を真っ先に出迎えたのは、ミニスカートに白いブーツ姿で並んだ中国人のコンパニオン・ガールたちだった。

 大音量のBGMと点滅する照明の中、さらに進んだ先にはモデルの女性40人が、ピチピチのショートパンツとタンクトップ、頭にはヘルメットといったいでたちで、コンドームの箱に似せたパッケージに入った景品を配って、オンライン・セキュリティー会社の宣伝をしていた。

■政府の禁止も効果ゼロ

 中国政府は7月、オンライン・ゲーム企業に対し、性的な宣伝行為を行うことを禁じたが、ここチャイナジョイの会場ではその効果はまったくといってよいほどない。デジタルゲームの見本市でゲームよりもコンパニオンが目立つのは、アジア中どこも一緒だが、中国のどぎつさは他から群を抜きつつある。

 中国オンラインゲーム大手シャンダゲームズ(Shanda Games)マーケティング企画担当者は「日本や韓国のショーにも行ったけど、こんなに女の子はいなかったよ」と驚くが、自社こそ出展企業のどこよりも多い100人の女の子を座らせて、カメラのフラッシュにさらすがままにしている。携帯最大手、中国移動通信集団(チャイナ・モバイル、China Mobile)女性幹部も「彼女たちには、わが社のアドベンチャーゲームのファンに付き添う妖精になってもらいたい」と、モデルを使ったプロモーションになんの悪びれもない。

 会場のいたるところで、あらゆる年齢層の男性の群れが、女の子たちに大声で笑顔やポーズを要求しては写真を撮る風景が繰り返される。

■コンパニオン自身から疑問の声も

 チャイナジョイのコンパニオンは3度目という20歳の女性は、ポーズをとるのは仕事の一部で、撮られた写真がインターネットに出回るのもしかたないが、不快なこともあるという。「普通の写真ならOKだけど、時々たまらない来場者もいる。ヘンなポーズをとらせたり、触ってくれと頼んできたり、ステージに迫ってきてセクハラしたり。何人かはただの変質者よ」

 4日間の会期中、コンパニオン代として日当200~300元(約2500~3800円)を稼いでいるという21歳の女子学生の仕事は、「キャットウーマン」になることだ。長いしっぽと耳をつけ、ヒョウ柄のランジェリー姿で「おり」の中に座る。「見本市でこんなのはヘン。最初はなんでおりの中になんて居させたがるのかと思ったわ。このイベントはもっと大きくなると思うから、若者によくない影響があまりにも増えたら、政府が規制するとかあると思う。けれど、これで売れてしまったら、ほかの業界でも真似するでしょうね」

 上智大学(Sophia University)のジェームス・ファーラー(James Farrer)准教授はによると、この15年の間に中国では、宣伝に性的なイメージを使う例が急増している。中国当局は通常、この手の傾向を歓迎しないが、道徳的権威を政府が牛耳るとなると、リベラル派だけではなく保守派の声も黙らせてしまいうると指摘する。

 8歳の息子と9歳の娘を連れた36歳の母親は、きわどいセクシーさが満載のイベントが、子どもに悪影響を与えるとは心配していない。「子どもたちは小さすぎて分からないわ。この子たちの父親をここに連れてこない限り、ぜんぜん構わないわ」(c)AFP/D'Arcy Doran

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