【7月28日 AFP】(一部更新、写真追加)乗客乗員152人を乗せてパキスタン南部のカラチ(Karachi)からイスラマバード(Islamabad)に向かっていた同国の航空会社「エアブルー(Airblue)」の旅客機エアバス(Airbus)A321型機が、悪天候のなか着陸に失敗して墜落し、乗っていた全員が死亡した。

 警察当局によると、墜落現場は樹木が生い茂って立ち入りが困難なマルガラ(Margalla)の丘陵地帯で、捜索作業は難航している。厚い雨雲と霧でヘリコプターの飛行も困難だった。救助隊員らは大声で生存者はいるかと叫んだが返事はなく、現場周辺には遺体や機体の破片が散乱していたという。警察はブラックボックスと思われる装置も回収した。

 目撃者によると事故機は異常に低い高度を飛行していた。その直後に、道路から少し離れた2つの尾根の間の谷間に墜落して轟音が聞こえ、煙と炎が上がったという。

 事故直後に5人が生存していると話していたレーマン・マリク(Rehman Malik)内相はその後、現地のテレビ局に対し生存者はいないと語った。ばらばらになった遺体も多く、身元の確認作業が必要だという。

■比較的新しい機体

 民間航空当局とエアブルーは、事故機には乗客146人乗員6人の計152人が乗っていたと発表した。乗客名簿には乳児2人を含む7人の子どもの名前もあった。米大使館は米国人2人が搭乗していたことが確認されたと発表した。

 当局は悪天候からテロまであらゆる可能性を排除せず事故原因を調査する方針だが、現時点ではなんらかの攻撃を受けた可能性は薄いとみられている。

 パキスタン政府は国民の服喪の日を宣言し、緊急閣議を招集したユサフ・ラザ・ギラニ(Yousuf Raza Gilani)首相は事故の犠牲者に哀悼の意を表した。イスラマバードの空港には遺族が集まり、やりどころのない怒りと悲しみにくれている。

 エアブルーの広報担当者は、事故を起こした機体は10年前に製造された比較的新しい機体で、午前7時45分(日本時間午前11時45分)にカラチを離陸した時には技術的な問題は全くなかったと述べるとともに、事故原因の調査には全面的に協力すると述べた。

■評価の高い航空会社

 2004年に営業を始めたエアブルーはパキスタンで最も高い評価を受けている航空会社で、エアバスのA320型機とA321型機を使って国内線および、アラブ首長国連邦のドバイ(Dubai)、シャルジャ(Sharjah)、アブダビ(Abu Dhabi)の各首長国、オマーンの首都マスカット(Muscat)、英国のマンチェスター(Manchester)への国際線を運航している。

 パキスタンでは航空機事故は比較的少なく、2006年7月に中部の都市ムルタン(Multan)発ラホール(Lahore)行きのパキスタン航空(Pakistan International AirlinesPIA)のフォッカーF27(Fokker F27)型機が離陸に失敗して45人が死亡したのを最後に、民間機の事故は起きていなかった。

 パキスタンの民間機が関係した史上最悪の航空機事故は、悪天候のなかネパールの首都カトマンズ(Kathmandu)の空港に着陸しようとしたパキスタン航空のエアバスA300型機が雲に覆われた山に墜落して167人が死亡した1992年9月の事故になっている。(c)AFP/Nasir Jaffry