【7月28日 AFP】イワナ・ミチッチ(Ivana Micic)さんは、ベオグラード(Belgrade)の病院で未熟児を産んだ。母乳がまだ出なかったため、ほかの母親の母乳を娘に与えた。

 この母乳は、ベオグラードにある新生児学研究所(Institute for Neonatology)の母乳バンクから提供されたものだ。セルビア初、そしてバルカン諸国初のこの母乳バンクへのドナー数は増え続けている。イワナさんも、感謝の念から母乳を「寄付」することに決めた。

 母乳バンクには、初年度、同研究所が必要とする母乳量の約3分の1にあたる2300リットルが寄付された。ドナーには、「非喫煙者であること」「アルコール摂取量が1日2ユニット(純粋なアルコールの量で20ミリリットル)以下であること」「性感染症にかかっていないこと」といった条件が付されている。

 現在、母乳の多くは、ベオグラードの病院で産まれた未熟児に与えられているが、今後は活動範囲を広げていきたいと所長は話す。 

 一方で、母乳バンクには、母乳育児率が低いという現実が立ちはだかる。国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によると、セルビアにおける生後6か月間の母乳育児率は15%と、世界平均を大きく下回っている。母乳バンクには、同国で伸び悩む母乳育児率を上げたいという願いも込められている。(c)AFP/Katarina Subasic