【7月20日 AFP】イタリアの電力大手エネル(Enel)は14日、同国シチリア(Sicily)島南東部シラクーザ(Syracuse)近郊に、溶融塩を熱伝導流体として使用する世界初の太陽熱発電所「アルキメーデ(Archimede)」を開設した。

 太陽熱を長時間蓄積して夜間や曇りの日でも発電が可能になったことで、自然環境に左右されるという再生可能エネルギーの制約を克服したとしている。

 約3万平方メートルの鏡で太陽光を集め、溶融塩が入った5400メートルのパイプを熱する。この溶融塩の熱で蒸気を作り、隣接する複合発電施設のタービンを回して発電する。

 発電能力は約5メガワットで、年間およそ2100トンの石油を節約し、二酸化炭素排出量も約3250トン削減できる計算になるという。

 アルキメーデとはギリシャの科学者アルキメデス(Archimedes)のイタリア語読みだが、アルキメデスがポエニ戦争時に鏡で太陽光を集めてシラクーザを攻めるローマ軍の船を燃やしてしまったという逸話にちなみ、発電所の名前にした。

 イタリア政府によると、同国は太陽エネルギーの生産がドイツに次いで欧州で2番目に多い国だという。(c)AFP