80万年前から寒冷地で生活、人類の移住史くつがえす発見か 英研究
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【7月10日 AFP】アフリカ大陸から移住した初期の人類が、これまでに考えられていたよりも早い約80万年以上前から、寒冷地域にも適応していたとする論文が、7日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。
この研究は、大英博物館(British Museum)のニック・アシュトン(Nick Ashton)氏の率いる研究チームが実施。イングランド東部ノーフォーク(Norfolk)のヘイズブラ(Happisburgh)で発見された大量の石器から、ヘイズブラが、冬の気温が氷点下になる地域に現生人類(ホモ・サピエンス)が定住した最古の場所であるとした。
論文によると、われわれの2万6000世代前の祖先が、現代のスウェーデン南部のような気候の中で生存していたことになる。また、火や衣類で暖を取ることもしていなかった可能性もあるという。
これまでにユーラシア大陸一帯で発見されていた更新世初期(180万~78万年前)の遺跡は、すべて北緯45度以南に位置しており、気候も熱帯性やサバンナ、地中海性だった。そのため、人類の移住には気温が障壁となっていたと考えられてきた。
■寒冷地適応の原因は不明
研究チームは、石器の年代を特定するため石器の磁気を調査。しかし、石器に含まれる磁性鉱物が少なかったことやグレイジャイトと呼ばれる鉱物が生み出す「ノイズ」によって年代特定は困難だった。
そのため、研究チームは動植物の痕跡を分析する生層位学の方法も用いて、これら両方の結果から「更新世初期」のものであることを特定したという。
また、当時のヘイズブラの気候や環境を調べ、夏の平均気温は16~18度、冬の平均気温が0~マイナス3度程度だったと推測。「寒い高緯度地域への移住が、人類の身体的適応によるものか、季節性の移住だったのか、狩りや衣類、火、住居などの発明によるものだったのかは、まだ明らかになっていない」としている。(c)AFP/Marlowe Hood
この研究は、大英博物館(British Museum)のニック・アシュトン(Nick Ashton)氏の率いる研究チームが実施。イングランド東部ノーフォーク(Norfolk)のヘイズブラ(Happisburgh)で発見された大量の石器から、ヘイズブラが、冬の気温が氷点下になる地域に現生人類(ホモ・サピエンス)が定住した最古の場所であるとした。
論文によると、われわれの2万6000世代前の祖先が、現代のスウェーデン南部のような気候の中で生存していたことになる。また、火や衣類で暖を取ることもしていなかった可能性もあるという。
これまでにユーラシア大陸一帯で発見されていた更新世初期(180万~78万年前)の遺跡は、すべて北緯45度以南に位置しており、気候も熱帯性やサバンナ、地中海性だった。そのため、人類の移住には気温が障壁となっていたと考えられてきた。
■寒冷地適応の原因は不明
研究チームは、石器の年代を特定するため石器の磁気を調査。しかし、石器に含まれる磁性鉱物が少なかったことやグレイジャイトと呼ばれる鉱物が生み出す「ノイズ」によって年代特定は困難だった。
そのため、研究チームは動植物の痕跡を分析する生層位学の方法も用いて、これら両方の結果から「更新世初期」のものであることを特定したという。
また、当時のヘイズブラの気候や環境を調べ、夏の平均気温は16~18度、冬の平均気温が0~マイナス3度程度だったと推測。「寒い高緯度地域への移住が、人類の身体的適応によるものか、季節性の移住だったのか、狩りや衣類、火、住居などの発明によるものだったのかは、まだ明らかになっていない」としている。(c)AFP/Marlowe Hood