【7月7日 AFP】海の中はわたしたち人間が思っているほど静かではないらしい。「魚は話す」という研究結果をニュージーランド、オークランド大学(University of Auckland)の海洋学者シャーリマン・ガザリ(Shahriman Ghazali )氏が明らかにした。

 魚の中には、低くうなるような音から鳥のようなさえずり、ポンと栓が空くような音などを出して、お互いにコミュニケーションをしている種類がいると言う。

 7日のニュージーランド・ヘラルド(New Zealand Herald)紙に掲載されたインタビューで、ガザリ氏は「すべての魚に音を聞く能力はある。しかし、すべての魚が音を出せるわけではない。音を出す魚は、浮き袋の収縮可能な筋肉をふるわせるなどの方法を使っている」と説明した。

 魚が「会話をする」理由は、異性をひきつけるためだったり、えさとなる生物を脅すためだったり、群れに泳ぐ方向を知らせるためだったりとさまざまだ。

■よく鳴くのはホウボウの仲間、スズメダイはダイバーも威嚇

 鳴くことができる魚を水槽に入れて観察した結果、鳴き声のレパートリーが豊富で、常時会話しているのはホウボウの仲間だった。

 対照的にタラは普段は静かで、産卵期にだけ鳴く。「鳴くことによって、メスとオスが産卵と受精のタイミングを合わせていると考えられる」とガザリ氏は語る。

 またスズメダイなどサンゴ礁に住む魚は、自分に脅威を与える別の魚を怖がらせて追い払うために音を出す。ダイバーが近づいても鳴くという。

 しかし、家で飼っている金魚と話そうと思う人がいたら、それはあまり期待しないほうがいい。「金魚は音を聞く能力はとても高いが、音を聞く能力と音を出す能力は別物で、金魚はまったく音を出さない」のだという。

 研究結果は7日、ニュージーランド海洋科学学会(New Zealand Marine Sciences Society)で発表される。