【6月24日 AFP】地球から150光年離れたペガサス座にある惑星HD 209458bは、古代エジプト神話の冥界の神にちなんで「オシリス(Osiris)」と名付けられているが、もし人間が近づけば瞬時に沸騰し、毒にまかれ、強風で体をひきちぎられる「通称にぴったり」の場所だ――。オランダ・ライデン天文台(Leiden Observatory)などの天文学者らによるこのような論文が23日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 オシリスは、太陽に似た黄色い恒星から約700万キロ離れて公転している。これは地球と太陽の間の距離の20分の1以下の距離で、オシリスの「1年」はわずか3日半だ。

 オシリスの片側の表面は1100度に熱せられているが、反対側は冷えきっている。大気圏はしま状になった一酸化炭素で覆われ、秒速1400~2800メートルもの猛烈な強風が吹き荒れているという。

「HD 209458bはまず間違いなく、気の弱い人たち向きの場所ではない」と、研究を主導したライデン天文台のIgnas Snellen氏は冗談交じりに述べている。

 研究チームは前年8月、チリの砂漠にある欧州南天天文台(ESO)の光学・赤外線望遠鏡VLTVery Large Telescope)の赤外分光器を使い、5時間にわたってオシリスを観測、大気を撮影した。オシリスは3時間で太陽に似た恒星の前を移動(トランジット)し、オシリスの明るさにわずかな変化が生じたことが観測されたため、大気物理学と大気化学面からの分析が行われた。(c)AFP