【6月23日 AFP】耳をつんざくような音を発するブブゼラは、会話の声をかき消してしまうかもしれないが、多言語国の南アフリカに新しい共通言語をもたらした――。ブブゼラを最初に大量生産したというニール・ヴァン・シャルクウィク(Neil van Schalkwyk)さんが18日、会見で語った。

■10年前は無料配布も

 2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)で、いまや欠かせないアクセサリーとなったブブゼラだが、シャルクウィクさんによると、10年前は地元の試合で無料配布しなければならなかったという。

「最初の年に売れたのは500本ほどでした。関心をもってもらうために、無料で配らなければなりませんでした」(シャルクウィクさん)

 2002年に2万本という初の大量受注を受けたケープタウン(Cape Town)にあるシャルクウィクさんの会社は現在、約200万本のブブゼラが流通している南アフリカで市場の25%を占めている。シャルクウィクさんの会社は、過去10年で600万~700万ランド(約7150万~8300万円)を売り上げたが、そのうち半分はW杯の前哨(しょう)戦となった前年南アで開催されたコンフェデレーションズカップ2009(Confederations Cup 2009)以降の売上だ。

 欧州進出も果たしたブブゼラだが、2014年にブラジルで開催される次回のW杯に向けて、新たに2社がシャルクウィクさんの会社に接触してきているという。シャルクウィクさんは「国際サッカー連盟(FIFA)からの承認を得て、2014年のブラジル大会でもスタジアムで使用できればいい」と話した。

■ブブゼラは「12番目の公用語」

 ブブゼラは、スタジアムでサポーターの歌声をかき消し、代表チームの監督と選手のコミュニケーションを妨げ、テレビの音声を圧倒的に支配してしまうとの批判もある。聴力を損なう恐れがあると指摘する専門家もいる。

 シャルクウィクさんは、ブブゼラは公用語が11もある南アフリカの言葉の壁を崩し、歌と同じく、いまや南アフリカのサッカーに欠かせない存在になっているという。

「南アフリカは多文化社会で11の言語がありますが、理解しなければならないのは、ブブゼラが12番目の言語だということです。われわれが実際にW杯で応援している方法がそれを示しています」とシャルクウィクさんは話した。

 トッププレーヤーらからも非難されているブブゼラだが、シャルクウィクさんは「このような見方をされるのは不幸なことだが、(ポルトガル代表の)クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)が言ったように、慣れる必要のあるものなのです。ブブゼラを体験するのは初めてなのですから」と話す。

■新製品は耳栓つき

 とはいえ、ドイツのパートナー企業と開発したシャルクウィクさんの新しいブブゼラ製品には耳栓がつく。通常134~140デシベルある標準的なブブゼラに比べて13デシベル低く抑えられているうえ、持ち運びに便利なように3つのパーツに分解できる。衝撃を加えるとばらばらになるので、「武器」としては使えなくなっている。

 現代のブブゼラの起源やブブゼラという言葉の意味は明らかではないが、村の首長が集会を開く際、家来を呼び集めるために吹いたウシ科の動物「クドゥ」の角がブブゼラの祖先だと考えられている。ブブゼラに大量生産を導入したというシュワルクさんは、自分はブブゼラの発明者ではなく、革新者だと話している。(c)AFP